岡田ジャパン試合レビューBACK NUMBER

南アフリカW杯アジア最終予選 VS.バーレーン 

text by

木ノ原句望

木ノ原句望Kumi Kinohara

PROFILE

photograph byTamon Matsuzono

posted2008/09/10 00:00

南アフリカW杯アジア最終予選 VS.バーレーン<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

 勝った者が本大会へ進むワールドカップ予選では結果が全て。その点では、9月6日のアジア最終予選初戦のバーレーン戦は、日本にとっていいスタートだったと言っていいだろう。3−0のリードから終盤に2失点を喫しながらも、敵地マナマで勝ち点3を確保できたのだから。

 半年前、当地で行われた3次予選の対戦では、いいところなく0−1で敗れた。その際には不在だったMF中村俊輔が、今回の対戦では存在感を発揮した。FKによる1得点と、PKをもたらしたシュートによる“1アシスト”。これで日本は試合の主導権を握ることができた。

 バーレーンは、指揮官のミラン・マチャラ監督が「どういうわけか相手を尊重しすぎて、3月の対戦のときとは別人だった」と嘆くほど、選手の動きに精彩を欠いて出来が悪かった。中村俊輔をはじめ、MF松井大輔、MF長谷部誠、出場機会はなかったが岡田体制で初参加したMF稲本潤一ら欧州組が揃ったという、心理的プレッシャーもあったに違いない。

 それでも、バーレーンはなんとか中盤で日本のプレーを止めようと試みて、遅れ気味ながらも身体を寄せてきていた。相手の抵抗と高温多湿の気候の中、日本は流れの中からのチャンスはほとんど作れなかったが、相手のファウルで得たセットプレーで、中村やMF遠藤保仁らの個人技が生きた。

 中村は前半18分に自らが倒されて得たミドルレンジのFKを、相手のタイミングを外しながらゴール隅に決めた。前半43分には、ペナルティボックスの中で遠藤のFKに合わせてシュートを放ち、それが相手DFアイシュの手に当たってハンドの判定に。このPKを遠藤が決めて2−0とした。

 田中達也と玉田圭司の2トップも前線でよく動いて相手にプレッシャーをかけた。チーム全体でしっかり相手と競い合い、素早く前へつないで組み立てようと試みていて、そこには3月とは違う戦いにしようという意識がうかがえた。

 その後、後半22分にはDFフセインが2枚目の警告で退場になるという、より日本に優位な展開になったが、後半30分過ぎの選手交代以降、流れが変わった。選手が代わったことで前線の守備の質と量が変わり、その結果、相手にボールを持たせることになってしまった。

 後半40分に交代出場したMF中村憲剛のミドル弾で3−0にした後、精神的な緩みが出たのか、42分、43分に立て続けに失点。2失点目は、相手ロングボールをクリアしようとしたDF闘莉王のヘディングを、GK楢崎正剛が取り損ねたオウンゴールだった。その後もミドルシュートを続けて打たれる展開で、それまでと同じチームとはとても思えない戦いぶりだった。

 ここで与えた2失点は、今後の戦いにどう作用するのだろうか。

 「2失点でいい課題が出たと思う」と中村俊輔は言う。W杯出場をかけて相手は常につけ入る隙を狙っている。気を抜けば足元をすくわれるのは当然のこと。岡田武史監督は、終盤の不出来は気の緩みと交替選手の役割が果たせていなかったことが原因だと振り返ったが、一方で、「ひょっとしたら、一番いい勝ち方だったかもしれない。得失点差以上に、得るものがたくさんあったように思う」とコメントし、スムーズな勝利よりも収穫があったとの考えを示した。中村も「交代で出てくる選手の重要さとかをもっと突き詰めたり、足が動かないときにどういうサッカーをするか、もうワンランク上を徹底できたらと思う」と話している。

 3−2の勝利は、本当に日本にとっていい結果だったのか──それは“得たもの”を今後の戦いでどう生かすか次第だろう。来年6月17日まで、最終予選はあと7戦ある。全て終わったときに笑っていられるように願いたい。

関連キーワード
岡田武史
中村俊輔
田中達也
玉田圭司
中村憲剛
田中マルクス闘莉王
楢崎正剛
南アフリカW杯
サッカーW杯

ページトップ