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カターニャ、偏差値45からの挑戦。 

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酒巻陽子

酒巻陽子Yoko Sakamaki

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photograph byAtsushi Tomura/AFLO SPORT

posted2007/10/02 00:00

カターニャ、偏差値45からの挑戦。<Number Web> photograph by Atsushi Tomura/AFLO SPORT

 9月23日に行われたカターニャ対フィオレンティーナを観戦中、知人のY氏がつぶやいた。

 「フィオレンティーナって偏差値60の高校みたいですね」

 Y氏に言わせるとフィオレンティーナ“高校”はやることにそつがなく、カターニャ“高校”は進学実績がないため偏差値は「45」らしい。その喩えがまんざら間違いでもなさそうだったので、その日のマッチを「高校生対決」として観ることにした。

 確かにフィオレンティーナのイレブンは戦術に従い、無駄な動きがない。好機を確実に得点に結びつけてリードした後は、状況に応じたプレーで各々が与えられた役割を演じている。個々には独創性が欠けるが、試合の運びが上手く、「勝利」という目標を達成しようとチーム一丸となって闘う姿勢には、まさに「進学校」の雰囲気が漂う。一方、カターニャにはチーム全体を落ち着かせるような選手がいないために、負けていると荒療治にでる。そのため白星をゲットするどころか試合後の手土産は常にレッドカード。この日もベテランMFバイオッコが一発退場を受けた。

 自力で敵をたたいて、確実に勝ち点を手に入れる能力のある「進学校」に比べ、偏差値「45」のカターニャは攻守両面で準備不足を露呈した。選手たちは迎えたシーズンに早くも戸惑いを見せ始めている。昨季の暴動事件で科せられたホームゲーム開催剥奪というペナルティだけでなく、「所詮、俺たちはできそこない」と、偏差値の低さに甘んじているような気がしてならない。

 ただ、正直言って観るものの目を惹きつけたのは、知将プランデッリ率いるエリート学生のプレーよりも、偏差値「45」の「蹴って走るサッカー」だった。夏季キャンプではプールメニューを増やして走りこむフィジカルトレーニングをあえて行わなかったとはいえ、「走れる」チームであることをアピールした。

 カターニャにプロリーグのサッカーに必要とされる頭脳プレーを求めてはいけない。なぜなら格下リーグでの経験しかないものには「予習」より「復習」が大切で、上のレベルであるセリエAで一つでも多くの実戦をこなす必要があるからだ。

 たしかに今季のカターニャは、苦戦を強いられると、主力選手が激しいタックルなどで退場を連発し、課題である「復習」よりも、「即興」を余儀なくされる試合が多い。しかし、そんなカターニャにも「蹴って走れる」という特技がある。偏差値の低さをサッカーの基本的スタンスである「走りきる」で補い、「原点回帰」で戦えば、他クラブを圧倒することさえ可能だろう。中高生の体育祭を見る父兄感覚でカターニャの試合を観れば、そしてそこに日本期待の“留学生”森本貴幸が加われば、声援にも思わず力が入ってしまうのである。

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