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「攻め」の姿勢が勝利を呼ぶ。
~九州国際大付、明豊の勝因~ 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph bySPORTS NIPPON

posted2009/08/11 11:30

「攻め」の姿勢が勝利を呼ぶ。~九州国際大付、明豊の勝因~<Number Web> photograph by SPORTS NIPPON

中盤以降は立ち直った九州国際大付のバッテリー。捕手の河野は5打数12安打1打点と打撃でも投手を盛り立てた

 夏の甲子園大会がいよいよ始まった。注目したのは初日のカード。優勝候補、伏兵が入り乱れて熱戦を演じ、とくに見ごたえがあったのが第1試合の常総学院対九州国際大付戦だ。

 個々の力なら九州国際大付が上回るが、高校野球でモノをいうのは個人技だけではない。伝統校なら「名前」が相手校を委縮させ、名監督率いるチームなら相手校が「何か仕掛けてくるのではないか」と勝手に自滅するケースが多い。今年の常総学院がまさにそう思わせるチームだった。

 春の九州王者で、クリーンアップに超高校級の強打者がずらりと並ぶ九州国際大付にくらべると戦力に厚みはない。しかし、3回までの波状攻撃を見てやっぱり常総は強いと思わされた。

流れを変えたバッテリーの配球。

 1回は中前打2本に九州国際大付の守りを揺さぶる内野安打2本を絡めて2点を奪う。2回は内野安打の一塁走者を三塁打で生還させる大小の合わせ技で加点。3回にはエラーで二塁まで進んだ打者走者をバントで三塁に送ってからスクイズを決めて追加点をもぎ取る、という試合巧者ぶり。勝負はこの序盤で決まったな、と思った。

 しかし、木内幸男監督が試合後に「(九州国際大付とは)力の差がありすぎた」と言っているように、九州国際大付が3回に2点、4回に5点を奪い、試合の流れはがらりと変わった。この流れを変えた最大の要因は「力の差」というより、九州国際大付バッテリーの配球にあったと思う。

 序盤は捕手・河野元貴が徹底的に外角にミットを構えることによって、常総各打者の踏み込みを容易にさせてしまった。さらにこの配球の悪いところは左腕・納富秀平の弱気を助長させたことだ。

 常総は強いんじゃないか、木内監督は何かをやってくるんじゃないかと投手が必要以上に警戒心を抱いているのに、捕手のリードがそれを容認するような外角一辺倒のリードになったため、投手の中から攻めの気持ちが抜け落ちてしまった。

「攻撃」とはバットを持って打つことより、グローブとボールを持って守ることの中にこそ存在しているのではないか、と矛盾を覚悟で思ってしまう。3回までと4回以降とでは、それくらい九州国際大付バッテリーのリードが違っていた。内角にも怖がらずにストレートやスライダーを投げ込むことで、外角の勝負球が生きるようになった。結局、常総を4回以降無得点に抑え、8-4で九州国際大付が勝利した。

明豊・今宮は遅い球を狙われる。

 第2試合の明豊対興南戦でもディフェンス型の興南と、強力打線を前面に押し立てる明豊の戦いとなった。5回までは2年生左腕・島袋洋奨の力投で興南が有利に試合を運んでいたが、6回以降に明豊打線が火を吹いて興南を4-3で退けている。

 この試合では明豊の149キロ右腕・今宮健太が130キロ台のツーシームと120キロ台のスライダーを序盤に狙い打たれて3点を失い、こちらは軌道修正できないまま5回限りで野口昂平にマウンドを譲っている。試合後には「遅い球を打たれた。もっとストレートで押せばよかった」と反省の弁を口にした。

 バッテリーの攻める意識がいかに大事か。初日の1、2試合はそれを饒舌に語った好ゲームであった。

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