ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER

豪州戦で見えた五輪代表の個性。
永井謙佑を軸としたその戦い方とは? 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byNaoya Sanuki

posted2011/06/03 10:30

豪州戦で見えた五輪代表の個性。永井謙佑を軸としたその戦い方とは?<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

2ゴール1アシストと爆発的なプレーを見せつけた永井謙佑。「本当に永井様々です。いつもいいところで決めてくれる」と試合後に主将の山村和也もその信頼感を語った

日本は永井を軸にして、ようやく戦闘態勢が整った。

 なかなかゴールを奪えなかった永井が、ゴールを薬に復調したのは、予選直前のU-22日本代表にとって大きな光明になった。ただ、スピードが圧倒的なために安易な「永井頼み」になってしまうと、彼が潰された場合、攻撃は停滞してしまう。

 オーストラリア戦の前半は、その傾向が顕著で後半も永井の足に頼り切っていた。

 それだけでいいのかと思っていた矢先、途中出場したFW大迫勇也がダメ押しゴールを決めた。永井の活躍が大迫を刺激し、相乗効果を生んだようだった。

「今回はいろいろ収穫がありました。立ち上がり、なかなかリズムに乗れなくて苦しんだけど逆転勝ちできた。それは、自分にとってもチームにとっても大きな自信になりました。

 ただ、勝てたけど課題も見つかりました。CKからカウンターで失点したシーンは、ファールで潰すなり止めないといけない。中盤のミスも多いし、そこからカウンターを仕掛けられた。クウェートはカウンターが鋭いので、ボールを奪われてもすぐに取り返すように動かないといけない。そこは、しっかり修正していきたいと思います」

 単純なパスミスや球際の弱さなどは、意識次第で修正できる。だが、攻撃の軸や攻撃の型は容易に構築できるものではない。また、攻撃の型があっても結果がついて来なければ、選手は疑心暗鬼になり、機能しなくなる。

 日本は、オーストラリア戦での勝利で、永井という軸を確立し、彼のスピードを前面に押し出して戦うという型を完成させた。その型は、選手たちの心の拠り所となり、より自信を持って予選を戦えるようになるはずだ。

 昨年11月のアジア競技大会にチームが始動して以来、7カ月。19日のクウェート戦を前に、日本は、ようやく戦闘態勢が整った。

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