ジーコ・ジャパン ドイツへの道BACK NUMBER

「北朝鮮とは、このグループで戦いたい」 

text by

木ノ原久美

木ノ原久美Kumi Kinohara

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2005/02/04 00:00

「北朝鮮とは、このグループで戦いたい」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 W杯最終予選初戦の北朝鮮戦を1週間後に控えて、2月2日、日本は埼玉スタジアムで行われた親善試合でシリアに3−0で下し、“本番”へ向けて弾みをつけた。

引いて守りを固めた相手に対して、辛抱強くボールを回し、バランスを保ちながら攻撃の糸口を探す。4日前に行われたカザフスタンとの調整試合以上に、日本選手には両サイドから攻める意識が強く、これが均衡を破る突破口になり、追加点を生んだ。

 前半44分、左サイドからのMF三都主のクロスボールにFW鈴木がゴール正面でヘディングで合わせて先制。その後、後半15分にシリア選手のひとりが2枚目の警告で退場になると、日本が両サイドのスペースを使う動きに拍車がかかった。DF中澤やDF田中が機を見てオーバーラップを仕掛け、攻めに厚みを加えた。

  そして、後半24分には右サイドのMF加地からのセンタリングをDF宮本がゴールへ叩き込み、終了間際には、左からの三都主のクロスを鈴木がスルーで通して、ゴール前へ走りこんだ小笠原が3点目を決めた。

  2試合続けてトップ下でプレーした小笠原は、「ビルドアップへ加わりながら、最後にゴールへ絡むイメージができた」と試合の収穫を口にした。

 欲を言えば、左サイドでオーバーラップを見せていた中澤や遠藤を三都主が使う展開をもう少し見たかったというところか。彼らがうまく絡めるようになれば、攻めのバリエーションが増えるだろう。また、本来なら通るようなパスが、角度やスピードが乱れて相手に届かず、チャンスになるところがチャンスにならずに終わったり、その結果として相手にカウンターを許すという場面も見られた。だが、選手に試合勘が戻ればこれらの問題は解消される部分が大きいだろう。

 ジーコ監督は、「これから精度を上げる作業は残っているが、チームはいい形でできている」と話し、さらに、「いま何をやるべきか、選手みんながわかっている。しかも自信を持ってやっている」とチームの成長を強調した。

 確かに、1年前のW杯一次予選開始を控えた時のような、「海外=スタメン、国内=控え」というようなチームを二分するようなギャップは、現在のチームには感じられない。それこそが、W杯最終予選スタートを前にジーコ監督が一番頼もしく感じている部分ではないだろうか。

 「(日本代表の)いまの強さは、スタメンも控えもない、このグループが一丸となって勝利を目指し、しかもスタメンと控えに差がないところにある。みんなでチームを押し上げようとしている」とジーコ監督は言った。

 そして、1月17日から宮崎・横浜・埼玉と続いた準備合宿と2度の調整試合を経て、チームの基盤も確認できたようだ。フィジカル面でも、昨年のスタート時にくらべて状態はずっとよく、特に精神面での充実がどの選手からも感じられる。

 北朝鮮戦のメンバーについて聞かれて、ジーコ監督は「これだけいいパフォーマンスを見せてくれて、うれしい悩み。基本的にはこのグループをもう少し残したい。そこに海外から誰を加えるか」とコメントした。

 日本のW杯最終予選第一戦となる北朝鮮戦は、2月9日、埼玉スタジアムで行われる。メンバーは2月3日に発表される予定だ。

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