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ロナウジーニョの笑顔に釘付け。 

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酒巻陽子

酒巻陽子Yoko Sakamaki

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photograph byGetty Images/AFLO

posted2006/04/25 00:00

ロナウジーニョの笑顔に釘付け。<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

 褐色の肌に白い歯を見せて会心の笑みを浮かべる青年の写真が、毎日、イタリアの紙面を飾る。お世辞にも「二枚目」とは言えない顔立ちなのだが、彼のくったくのない微笑みは「ピッチ上でも気持ちよさそうに笑うこと」の必要性を我々に訴えかけている。

 4月18日、欧州チャンピオンズリーグ準決勝。ジュセッペ・メアッツァでACミランを1−0で下したバルセロナのMFロナウジーニョが、イタリアで一大旋風を巻き起こしている理由は、「楽しみながらサッカーをする」彼のスピリットにあると思う。

 世界一のレフェリーと言われたピエルルイジ・コリーナ元審判員も言った。「いかなる試合でも決して笑顔を絶やさないロナウジーニョの心がけが美しい」。

 欧州チャンピオンズリーグの決勝トーナメントは「ヨーロッパの覇者」という名誉あるタイトルがかかった試合ゆえに闘争心もことさら強い。選手たちは形相を変え、さらに卑劣なファウルを連発することで揉め事も絶えない。レッドカードの数が毎年増えている点も、激しいバトルであることを象徴している。

 注目の一戦となったミラン−バルセロナ。赤と黒に染まったスタンドは、試合開始直後から興奮が頂点に達した。そんな熾烈な戦いの中でも、ロナウジーニョは満面の笑みを浮かべながらの多彩なパフォーマンスで、観る者、ピッチに立つものに好感をもたらした。

 FWジュリのゴールを演出したキラーパスもさることながら、その前の、宙高く舞いながら、50センチメートル四方で自由自在にボールを操るテクニックは圧巻だった。MFガットゥーゾやDFネスタがウルトラ級パフォーマンスに呆気にとられた末に、笑みをこぼしたその表情に、「ロナウジーニョ効果」が伺えた。

 大観衆をのみ込んだスタジアムにはブーイングが一度たりとも起こらなかった。「楽しんでプレーすること」を全うする彼の美学が、7万人の大観衆の心を奪ったのだった。

 「見た目はたいしたことないが、ボクは年々かっこよくなってきた」

 とびっきりの笑顔と謙虚な姿勢でサッカーの真髄を極める天才が、いまだ手にしたことのない「欧州一」のタイトル獲得に、イタリア中が熱気あふれる声援を送る今日。ミランサポーターも3年ぶりとなる欧州チャンピオンズ覇権の夢が厳しくなったにもかかわらず、ロナウジーニョの健闘を称えている。

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