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ロナウジーニョ、ミラン入りの実現性は? 

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酒巻陽子

酒巻陽子Yoko Sakamaki

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photograph byPICS UNITED/AFLO

posted2006/10/31 00:00

ロナウジーニョ、ミラン入りの実現性は?<Number Web> photograph by PICS UNITED/AFLO

 ウクライナ代表のFWシェフチェンコの放出後、戦力補強が進んでいなかったACミランがついに動き出した。バルセロナに所属するブラジル代表MFロナウジーニョの獲得に向け、9000万ユーロ(約135億円)の移籍金を調達していると報道されたのである。

 ミランはこれまでも攻撃力とイメージアップのためにロナウジーニョに興味を示してきたが、破格の移籍金が大きな壁となり、さらにロナウジーニョの実兄が「2年後にロナウジーニョを渡すから、今夏はオリベイラを獲得するように」とミラン側に嘆願したこともあって、交渉を断念してきた。ところが、イタリアメディアによると、今月に入り前イタリア首相で同クラブの名誉会長、ベルルスコーニがチーム力の低下にしびれを切らし、世界一のプレイヤーを手に入れることで欧州王者奪回を決意。ロナウジーニョ獲得に前向きな姿勢を示し、資金繰りに動き出したとしている。バルセロナとロナウジーニョの契約は2010年6月末日まで。それを破棄すると1億2500万ユーロの違約金が発生するが、ミラン側は9000万ユーロの違約金でバルセロナに交渉を持ちかけているようだ。加えて、渦中のロナウジーニョが「バルセロナにはもう刺激がない」と関係者に漏らしているとの情報もあり、「空前の大型移籍」に現実味が帯びてきたのである。

 しかし、彼を獲得するにはサッカー史上最高の移籍金だけでは済まない。「宝物」を手にするには、まだまだ様々な障害がある。

 まず年俸。バルセロナでのロナウジーニョの年俸は900万ユーロ。現在、バルセロナ側に1200万ユーロへの年俸アップを要求しているが、バルセロナには300万ユーロ増しに難色を示す幹部もいる。ただ、ミラン側はロナウジーニョが希望する年俸額を払う方針を固め、高額年俸の点はクリアできる。

 続いてスポンサーの問題。ミランのテクニカルスポンサーは「アディダス」。一方、ロナウジーニョは「ナイキ」と個人スポンサー契約を結んでいるのである。この関係がロナウジーニョ獲得の最大のネックとなりうる。

 そしてピッチ上の問題。現在、チームの中心であるカカはどうなる?ブラジル代表での両者は共に持ち味を見せているが、これも監督の状況判断能力によるもの。ミランは来季もアンチェロッティ監督を続投させる方向性を示しているが、かつてあのリバウドの起用法に頭を悩ませた指揮官だけに、カカとロナウジーニョを難なく操縦できる指導力が彼にあるかは少し疑問だ。従って、ロナウジーニョの獲得は、ミランに監督探しという「苦肉の策」を強いることにもなりそうだ。

 ロナウジーニョのミラン入り説。実現性は「?」である。ところが、ダイナミックさが不足した「つまらないリーグ」に愛想を尽かしたイタリア人はもう黙ってはいられない。国内ではロナウジーニョ待望論が高まっている。セリエAを活性化させるには、もはやブラジルの至宝に頼るしかないのかもしれない。

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