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異民族対決で人気沸騰、
「ショウタイム」が熱い。
~K-1活動停止中の一方で~ 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byBen Pontier/EFN

posted2011/06/05 08:00

異民族対決で人気沸騰、「ショウタイム」が熱い。~K-1活動停止中の一方で~<Number Web> photograph by Ben Pontier/EFN

挑戦者ボレルの顔面に飛びヒザ蹴りをハードヒットさせるンギンビ。2RKOで王座防衛

 今年に入ってから活動停止中のK-1とは対照的に、オランダを拠点にヨーロッパ各国で興行を打つ立ち技格闘技イベント『IT'S SHOWTIME』が元気だ。5月14日には初めてフランスに進出。第二の都市リヨンでの大会を成功させた。その秘訣は多様な民族をぶつけ合うマッチメークにある。

 70kg級では、世界王者クリス・ンギンビが人間離れした跳躍力から繰り出すヒザ蹴りを連発して、フランス人のマッチョな挑戦者をKOで仕留めた。現在オランダ国籍のンギンビは95kg級世界王者ダーニョ・イルンガ同様、コンゴからの移民。彼らを代表とするアフリカ大陸系は白人系、南米スリナム系、地中海アラブ系、旧ソ連系に続くヨーロッパ格闘技界第5の民族勢力として注目されつつある。

 この大会まで1引き分けを挟んで30連勝をマークし、K-1ワールドMAXでは史上初のV2を達成したジョルジオ・ペトロシアンは旧ソ連より'91年に独立したアルメニアからイタリアへの移民だ。73kg級初代世界王座決定戦に出場した弱冠19歳のマラット・グレゴリアンもアルメニアの出身ながら、ベルギーに移住してから格闘技を始めたという。

日本でも知名度の高いバダ・ハリの試合でモロッコ系の観客が熱狂。

 日本以上に人気の高いヘビー級のマッチメークも異民族の対決を煽る。ルーマニアの国民的英雄ダニエル・ギタはモロッコ系移民の若手を、同じスリナムの血を引くアーネスト・ホーストに師事するタイロン・スポーンはフランス在住のクロアチア人を一蹴した。

 真打ちは、日本でも知名度の高い“悪童”バダ・ハリだ。昨年5月のタイトル戦で当時王者だったバダ・ハリは倒れた挑戦者に攻撃を加えて反則負け。私生活では暴行事件の関与も疑われ、1年もの謹慎を余儀なくされた。そのブランクが響いたのか、動きは今ひとつ。それでも地力は衰えておらず、大ベテランのフランス人を扇風機のようなパンチでKOした。

 会場には、モロッコ系の観客が詰めかけていた。お目当ては同郷のカリスマであるバダ・ハリ。その熱は凄まじく、試合前あまりにも多くのファンがリングサイドに殺到したため、レフェリーが自分の席に戻らないと試合を開始しないと警告を発したほどだった。人種の坩堝と化したヨーロッパでは、ナショナリズムを刺激するマッチメークが一番盛り上がる。

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