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エレベーターチームゆえに味わう貧富の差 

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安藤正純

安藤正純Masazumi Ando

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posted2005/04/27 00:00

エレベーターチームゆえに味わう貧富の差<Number Web> photograph by AFLO

 アルミニア・ビーレフェルトは1部と2部を行ったり来たりの典型的なエレベーターチーム。過去10年間、一度も「2年連続」でブンデスリーガ残留を果たしたことがない。こういった実績があるため、開幕前の予想で専門家は口を揃えて降格候補の1番手に指名する。いわば両者納得の恒例行事だ。

 ところが、である。今季は残り5試合の時点で堂々(?)の12位。降格ゾーンの16位とは勝点6差をつけている。これで念願の残留決定はほぼ間違いないだろう。

 カップ戦でも大健闘を見せた。なんと準決勝に進出したのだ。あと1つ勝てばクラブ史上初の「決勝戦」に進出できる。そこで迎えた20日の相手は最強バイエルンだった。

 チャンピオンズリーグで負けてウサ晴らしをしたいバイエルンだけに、ビーレフェルトの大敗かと思われたが、フタを開けるや、まったく逆の展開となった。開始3分、バラックがヘディングで先制点を奪う。だがビーレフェルトはちっとも慌てない。ホームの利を生かし猛反撃を開始したのである。バックリー、ガブリエル、ブルゲスらのシュートはいずれも「あと数センチ」の誤差。カーン大明神のスーパーセーブがなければ、『青旗ジャム』(ロゴが似てるでしょ♪)に完敗していたことだろう。

 もともとこの地域は欧州屈指のプロチーム密集地帯である。ドルトムント、シャルケ、メンヘングラッドバッハが1部常連組で、アーヘン、ボッフム、エッセン、デュイスブルクが昇降組。ビーレフェルトはもちろん後者。地の利がいいので選手の移籍も活発だ、というより市電やバスを使っても移動できる環境にあるので、A市に住みながらB市のクラブに通うということだって可能なのだ。

 今季躍進のキーワードは1にラポルダー監督、2にFWバックリー、3にMFオモボエラだ。ドイツ人記者に言わせると、「バイエルンのマガート、シャルケのラングニック、ラポルダーが国内優秀監督の御三家」だそうだ。戦術に詳しく、臨機応変にチームを編成できるからである。しかし来季はオモボエラとDFレンセが移籍する。得点王争いで2位につけるバックリーにも引く手数多だ。こうなるとチームはガタガタになってしまう。

 おかげでラポルダー監督は続投に嫌気が差してしまったという。来季昇格が濃厚な1FCケルンの新監督就任も噂されるが、実現には「移籍先がビーレフェルトに50万ユーロ(約7000万円)の違約金を支払う」ことと「チームの2部陥落」の2つが前提条件となる。

 弱小クラブならではの悲哀を味わっているわけだが、チャンピオンズリーグに出場できる上位と、まるで余得のない下位では、これだけ“貧富の差”が激しいということなのである。2部にいたほうが気楽だったかな?

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