試合終了後、敵将に祝福の言葉を送ったファーガソン。

　チェルシーを下したCL8強でのパスワークが「燻し銀」と絶賛されたギグスだが、ボールに触れなくてはパスを送ることもできず、37歳という年齢による脚力の「衰え」だけが目立った。

　相棒によるサポートが乏しかったキャリックは、ボランチとしての力不足を露呈した。

　2年前の対決で何もできずに終わった両MFは、今回も相手選手と相手ボールの影を追うだけの無力な存在だった。

　ウェンブリー・スタジアムに試合終了のホイッスルが鳴り響くと、ピッチサイドには、穏やかな表情でペップ・グアルディオラに祝福の言葉を送るファーガソンの姿があった。あまりの潔さに、鬼軍曹として知られる老将も、完敗で諦めの境地に陥ったのではないかとさえ思われた。

「この夏、勇気を持ってチームに手を入れる」

　だが、どうやらファーガソンの意識は、目の前の敗戦から、勝つための今後へといち早く切り替えられていた、と解釈するのが正解のようだ。敗軍の将は、さばさばした表情で試合後に語った。

「チームを常に進歩させること。それがチーム作りに携わる者としての最大のやり甲斐だ。手元には優れた選手が揃っている。この夏、じっくりと考えた上で勇気を持ってチームに手を入れる」

　バルセロナを相手に、指揮官に正攻法を決断させたルーニーとエルナンデスは、25歳と22歳の若さだ。

　チームの最終ラインには、ファビオとラファエウのダ・シウバ兄弟、ベンチ入りしたクリス・スモーリングという、更に若い1軍レギュラーも台頭している。

　ファーガソンは、この試合を最後に引退するエドウィン・ファンデルサールの後継者として、20歳のGK、ダビド・デゲアに既に白羽の矢を立てている。

　夏の移籍市場では、完敗の要因となった中盤の梃入れにも着手するはずだ。

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