林の今季成績は5勝4敗26S自責点12(10月4日現在)。腰痛で戦線離脱した後、9月16日の横浜戦から復帰したが、9月21日の広島戦でもリリーフ失敗するなど調子はまだ上がってこない

セ・リーグCS争いの混戦を招いた、
ヤクルト“勝利の方程式”の崩壊。

小関順二 = 文 ⇒この著者の記事一覧

text by Junji Koseki

photograph by NIKKAN SPORTS

セ・リーグCS争いの混戦を招いた、ヤクルト“勝利の方程式”の崩壊。

関連アスリート・チーム:

チーム・選手名
高田 繁
五十嵐 亮太
林 昌勇
東京ヤクルトスワローズ

 セ・リーグの3位争いが激化している。10月4日現在の順位は次の通り(カッコ内数字はゲーム差)。

 3位 阪神   66勝71敗

 4位 ヤクルト 65勝72敗(1)

 5位 広島   63勝74敗(2)

 この混戦を演出したのがヤクルトの大失速だ。ちなみに8月31日時点の成績は次の通り。

 3位 ヤクルト 55勝53敗

 4位 阪神   50勝58敗(5)

 5位 広島   48勝60敗(2)

 9月の成績は何と9勝17敗。5日から15日にかけての9連敗、18日から21日にかけての4連敗が大きく響いている。2つあった貯金は現在、借金7に変わっている。9月に入ってからの失速が大きかったわけだが、暗い影は既に8月下旬から見えていた。

連敗を招いた林昌勇の不調。

 8月23日、巨人を8回無失点に抑えた石川雅規のあとを受けた林昌勇が9回表に2点を奪われ、1対2で敗れたのがケチのつきはじめ。25日の広島戦こそ5対1で勝っているが、26日から9月2日まで6連敗して貯金を使い果たしている。この大きな躓(つまず)きの原因になったのが林の不調にともなう、継投策の迷いだ。

 8月23日のリリーフ失敗以降、8月29日の中日戦でも林は延長10回表に2失点して敗戦投手になり、9月3日には腰痛のため出場選手登録を抹消されている。

 この8月23日から連敗街道をひた走った9月21日まで、1試合につぎ込んだ投手の平均人数は3.76人。現在は分業の時代だから、この人数は他球団も大して変わらないと思ったが、そうではないらしい。10月3日までに一軍で起用した投手の人数は30人。最も少ない広島が21人、2番目に多い横浜が26人だから、ヤクルトが二軍の隅々まで漁っていろいろな投手を一軍で力試しした形跡がうかがえる。一軍で登板した中には戦力外通告を受けた木田優夫、丸山貴史、花田真人や、野手への転向を言い渡された高井雄平もいるのだから、なりふりかまわぬ様子が一層鮮明になる。

 この投手が底をついた状態は、その起用法にも影を落としている。勝ちゲームの中継ぎを任されていた押本健彦が9月5、12日に先発で起用されたと思ったら16日以降は再びリリーフに戻るなど、勝利の方程式を見失ったベンチの迷いが露骨に表れているのだ。

 9月22日から28日まで6連勝してチームの士気は大いに高まったと思うが、6連勝の内訳は完投が4(うち1つは完封)だから、継投でしのぐ勝ち方はできていない。五十嵐亮太→林へとつなぐ必勝リレーこそヤクルトのCS(クライマックスシリーズ)進出の絶対条件なのに、その起用に指揮官の腰が引けているというところにヤクルトの迷いがある。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  アマチュアからリリーフ投手の逸材を発掘せよ。

筆者プロフィール

小関順二

1952年神奈川県生まれ。日本大学芸術学部卒。1988年ドラフト会議倶楽部を創設し、模擬ドラフトで注目を集める。Numberほか雑誌「週刊現代」にも野球コラムを連載中。『プロ野球 問題だらけの12球団』(草思社)はシリーズ10年目を迎えた。他に『プロ野球のサムライたち』(文春新書)、『プロ野球スカウティングレポート』(アスペクト)など著書多数。


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