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<村上春樹ランを語る ライナーノーツ> 「限りなく蛇足に近いインタビュー後記」 

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柳橋閑

柳橋閑Kan Yanagibashi

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photograph byNanae Suzuki

posted2011/05/31 06:00

<村上春樹ランを語る ライナーノーツ> 「限りなく蛇足に近いインタビュー後記」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

『BRUTUS』『村上朝日堂シリーズ』etc...

【5】 雑誌『BRUTUS』 (マガジンハウス、1999年6月1日号)

「肉体が変われば、文体も変わる!?」と題して、春樹さんのランニングと創作の関係を大々的に特集しています。イラストはおなじみ安西水丸画伯。この特集なくして、今回のNumber Doの記事もありません。春樹さんが本格的に走ることと創作との関係を語り出した原点でもあります。後半にはホノルルのティンマン・トライアスロン参戦記も載っています。ただ12年前の雑誌なので、さすがに古本屋でも手に入りにくいかもしれません。興味のある方は図書館などで探して、ぜひ読んでみてください。

【6】 『村上朝日堂 スメルジャコフ対織田信長家臣団』 (朝日新聞社、2001年)

だんだんマニアックに遡っていきます。『村上朝日堂スメルジャコフ対織田信長家臣団』。村上朝日堂シリーズのエッセイ+3年におよぶHP上での読者とのやりとりをまとめたCD-ROMのセットです。Number Doの今回のQ&Aの手法や、安西水丸画伯のイラストを使った誌面づくりは、やっぱり村上朝日堂が下敷きになっています。え、パクリ? いや伝統の継承っていうか……。トライアスロンを始めた頃の春樹さんの日常的なトレーニングや、梅竹下ランナーズ・クラブで出場した駅伝のこと、NYシティマラソンのエピソードがリアルタイムで書かれています。執筆し、翻訳し、走る、春樹さんのハードワーカーぶりがビビッドに伝わってきます。

【7】 『そうだ、村上さんに聞いてみよう』 (朝日新聞社、2000年)

村上朝日堂HP関連からもう1冊。読者とのメールのやりとりを活字にまとめた『そうだ、村上さんに聞いてみよう』。Number DoのQ&Aコーナーのタイトルはここからのパクリです(開き直り!)。マラソンの話もところどころに出てきます。個人的には「マラソンを完走した達成感は?」と聞かれて、「前からずっと好きだった女の子をデートに誘ったとき」にたとえた回答が印象的でした。春樹さんじゃないと書けない一文です。

【8】 『村上朝日堂 夢のサーフシティー』 (朝日新聞社、1998年)

さらにもう1冊、インターネット版・村上朝日堂シリーズから『村上朝日堂 夢のサーフシティー』。やはり読者とのやりとりをまとめたCD-ROM付きです。エッセイはパソコン雑誌「ぱそ」に連載されたものです。ありましたねえ「ぱそ」。なつかしい。マラソン関連では、フルのレース中、30km地点で脚が動かなくなったものの、クリームパンをむしゃむしゃ食べたら復活した話、5回目のボストンマラソンのエピソード、丁稚イガラシさん(オールドスクールのファンにはおなじみ、朝日堂の担当編集者の方)による村上トライアスロン大会のレポートなどが載っています。賑やかなノリで楽しい一冊。

【次ページ】 『やがて哀しき外国語』『遠い太鼓』etc...

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