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窓のある家──J.J.リディック 

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小尾慶一

小尾慶一Keiichi Obi

PROFILE

photograph byNBAE/gettyimages/AFLO

posted2006/07/06 00:00

 トゥイーナー(tweener)という言葉がある。「身長的に最適なポジション」と「能力的に最適なポジション」にズレがある選手を指す呼び名だ。こうした選手は成長を予測しづらいため、ドラフト時に悪い印象を与えてしまうことが多い。特に損をするのが、サイズのないプレイヤー。ファイナルMVPのドゥエイン・ウェイド(193cmの身長はPG向き・資質はSG)にしても、プロ入り前は十分な評価を得ていなかった。

 先日のNBAドラフトで11位指名を受けたJ.J.リディックも、ポジションの狭間で悩むトゥイーナーだ。

 リディックは、1984年生まれの22歳。193cmのピュアシューターである。名門デューク大で1年生からスターターとして活躍し、4年生時には平均26.8点を記録。ジョン・ウッデン・アワード、ネイスミス・アワードなど、最優秀選手賞の数々に輝いた。

 お手本のようなシュートフォーム、ディフェンスを翻弄するクィックリリース。驚異的なシュートレンジを誇り、3ポイントラインのはるか後方からジャンプショットを沈める。守備の裏をかいてフリーになる技術も絶品で、他チームのコーチが指導の参考にするほど。今夏の世界選手権では、アメリカ代表候補にも選ばれた。

 上位指名されなかったのは、やはり、ポジション的にアンバランスだったからだろう。極上のシューターではあるが、NBAでSGを務めるにはサイズが足りず、PGをプレーするにはボールハンドリングに難がある。そして、何よりも、ウェイドに備わっているもの──不利をものともしない運動能力──が、彼にはない。

 しかし、だからこそ注目してみたいのだ。おそらく、今後NBA入りする日本人選手は、彼と同じような状況に直面する。サイズと運動能力に欠ける者がNBAで輝くには、どうすべきか?その答えが、リディックの今後に隠されている。

 「J.J.(リディック)が家だとすると、窓がたくさんある家ということになるだろう」デューク大のヘッドコーチ、マイク・シャセフスキーは、スポーツイラストレイティド誌上でそう述べた。「かつては、シューティングという、ひとつの窓しかなかったのだがね」

 大学4年間で、リディックはたくさんのスキルを身に付け、自身の可能性を押し広げてきた。NBAという大舞台で生き残るには、それを続けるしかない。幸い、次にどんな「窓」をつくればいいのかはわかっている。

 PGという「窓」の先に、何が見えるか。リディックの目を通して、それを確かめたい。

餅は餅屋、シュートのことはシューターに──。

(松井啓十郎インタビュー)

 コロンビア大期待のシューター、松井啓十郎(*)が、リディックへの思いを熱く語る。(*85年生まれ。186cmのSG。昨年から、米国コロンビア大でプレー。日本人男子初のNCAAディビジョンIプレイヤーである)

──リディックに憧れているとのことですが、ずばり、彼の魅力は?

 シュートがすごい。シュートだけではやっていけないこともわかっていて、よく練習している。去年の後半から、シュート以外の動き、自分のシュートをクリエイトするプレーもできるようになっています。運動能力がずば抜けているわけじゃないし、身長も僕と5センチぐらいしか変わらない。それでトップレベルのデュークであれだけ活躍できるなら、僕もがんばればやれるんじゃないか、と。憧れの選手ですね。

──プレーを参考にすることはあります?

 コーチから、リディックの特集映像を見せてもらいました。スクリーンの使い方とか、ディフェンスの出方を見てシュートかドライブかを決めるとか、そのへんを見ますね。(シュートに関しては)シュートレンジにリミットがない。場所に関係なく、あいたら打つという感じで。僕は「遠いから打たない」と思ってしまうことがあるので、距離を意識しないで打てるようになりたい。

──リディックがNBAで活躍できるか、注目ですね。

 デューク大であれだけやった人が、NBAでどこまでできるか、見ごたえはありますね。でも、無理な期待はしていません。さすがに、1年目から「すごい選手だ!」ということにはならないと思う。運動能力もそうですけど、彼の身長では、NBAで2番(SG)は難しいじゃないですか。で、1番(PG)ということになると、運動能力、パス回し、それにハンドリングができるか、というところで厳しいと思います。

──それは、きみ自身の課題と重なる?

 そうですね。僕も2番としては小さいですし、ドリブルをうまく使って、相手を抜いたりスペースを作ってシュートを打ったり、そういうことができるかどうかが問題なので。

──日本で行なわれる世界選手権のメンバーに、リディックは残れるでしょうか?

 残れるんじゃないかな。何だかんだいって、ヘッドコーチはデューク大の「コーチK」(シャシェフスキーのニックネーム)ですから。オーバーオールにできる選手がチームに多いから、逆に、シュートのスペシャリストが必要だと思います。

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