奥大介によるW杯グループ詳細解説。
「3つの国との戦い方を語ろう」

奥大介(二宮寿朗) = 文 ⇒この著者の記事一覧

text by Daisuke Oku(Toshio Ninomiya)

photograph by 2010 FIFA World Cup Organising Committee South Africa/AFLO

奥大介によるW杯グループ詳細解説。「3つの国との戦い方を語ろう」

[ グループE以外の分析コラムはこちら ] 元日本代表の奥大介が、南アW杯の1次リーグ組合せ結果を受け対戦国を徹底分析。W杯ベスト4を目指すべく、最初の第一歩となるグループ突破の可能性を探る。 南アフリカW杯のグループ分けが決まった。オランダ、デンマーク、カメルーンと同じE組に入った岡田ジャパンだが、「悪くないグループ、悪くない日程」というのが私の率直な感想だ。

 何故、「悪くない」と思えたか。その理由の第1は、カメルーンと初戦で対戦できるからだ。

 私自身、日本代表としてナイジェリアなどアフリカ勢と戦った経験があるが、アフリカのチームというのは身体能力こそ優れているが、どうしても集中力が続かないところがある。調子づかせると厄介な反面、一度集中力が切れてしまうと修正できないモロさも併せ持っている。オランダやデンマークよりも、つけ入る隙のあるチームと初戦でやれるのは大きい。

カメルーン戦のすべては“エトーに仕事をさせないこと”。

奥大介【 奥大介 (おくだいすけ) 】
1976年兵庫県生まれ。'94年ジュビロ磐田入団。後に横浜F・マリノス、横浜FC。'98年に代表デビュー、以降'04年まで活躍。'07年現役引退し、現在は多摩高校サッカー部監督など後進を指導する

 確かにカメルーンは、リヨンでフランスリーグ3連覇を果たしたポール・ル・グエンが規律あるチームをつくってはいる。しかしながらエトー頼みであることは変わらず、ガーナほど強くもない。日本代表が粘りのある守備でじらしていけば、どこかで集中力が切れてしまう時間帯が出てくるはずだ。点を与えなければ、カメルーンはおそらくじれてくる。そこが狙い目だと言える。

 それにアフリカの選手は、日本人選手との“逆リーチ差”にまず戸惑うだろう。これはやってみないと分からない感覚。私が戦ったナイジェリアの選手たちはディフェンスする際、間合いをつかむまで時間がかかっていた印象だった。だから自分がドリブルで仕掛けても「勝負できる」と思えたほどだ。岡田ジャパンは小柄でアジリティーのある選手が多いので、そういうチャンスも出てくるに違いない。

 すべてはエトーに仕事をさせないことだ。エトーは3トップの左に起用される可能性が高いようだ。アウトサイドでラインの裏を抜けるタイミングが速く、抜け出してボールを受け取ればどの体勢からでも打ってくる。難しいミッションになるとは思うが、日本代表は複数でこのエトーを止めなければ始まらない。チェックに行く1人目の守備も大事だが、その次の2人目の対応がカギを握ってくる。エトーをいらつかせて、チームで封じこめられれば、勝機は必ずや出てくると思う。

「本気のオランダ」を知るゆえに第2戦は引き分けも狙える。

 シード国の枠にオランダが入ったことが、「悪くない」理由の第2だ。

 オランダとは今年9月にアウェーで戦っている“実績”がある。結果的に0-3で敗れてはいるが、高い位置からの積極的なプレスがはまって前半だけはほぼ互角に戦うことができた。岡田ジャパンの方向性に、間違いはないと思う。90分通してうまくプレスをやり切ることができれば、オランダ相手にも有効だ。

 後半に入って運動量が落ちて3点を失ってしまったが、「本気のオランダ」を味わえたことも大きな収穫だった。一瞬、かわしただけでゴールを決めてしまったスナイデルのシュートなど、あのような経験は一度しておくと、次に対応できるというもの。南アフリカは別として、ほかのシード国と戦うよりもはっきりと対策を講じられるオランダのほうがよかった、と私は思う。勝つまでは難しいにしても、うまくいけば引き分けに持ち込めるかもしれない。

 対オランダで修正するポイントは「サイドの攻防」だろうか。9月の試合ではファンペルシ、ロッベンら強烈なサイドアタッカーに高い位置で起点をつくられてしまったことで、途中からディフェンスラインが下がってしまった。ラインが間延びして中盤のスペースを使われると厳しくなる。サイドをいかに抑えるかが鍵だろう。

 そうなると守備に比重を置く選手をサイドバックに起用するのもいい。対人に強い徳永悠平を起用しても面白いと思う。対エトーを考えればカメルーン戦から続けて徳永を使う手もある。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  勝ち点次第で戦い方が変わってくる対デンマーク。


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