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このままバリチェロが優勝するの?
ブラウンGPに漂う奇妙な倦怠感。 

text by

西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2009/09/23 08:00

このままバリチェロが優勝するの?ブラウンGPに漂う奇妙な倦怠感。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

開幕レース以来の決勝順位は、2位→5位→4位→5位→2位→2位→リタイヤ→3位→6位→10位→1位→7位→1位となる。昨季に引退を噂されたドライバーとは思えぬ活躍だが……

「このままバリチェロは『勝たせて』もらえるんだろうか……」

 イタリアGP決勝レースでのこと。ハミルトンら2回ピットストップ組の最後の給油が終わってコースに戻った時、先頭を獲ったのはバリチェロ→バトンのブラウンGP艦隊。前戦ベルギーはメタメタだったブラウンGPなのに、アンダーステアなマシン特性に合ったモンツァ・サーキットに来るとこの手堅さ。

 その復活はめでたいにしても、チームでナンバー2ドライバーのバリチェロがナンバー1のバトンより先を走り続けるのはマズイのでは?

 いつ、どんな方法で知将ロス・ブラウンはバトンを前に出すんだろう? 

 まさかこのままってことはあるまい……と気を揉んでいたが、結局“そのまま”でバリチェロがすんなり勝ってしまった。

ライバルたちが次々自滅し、バリチェロがあっさり優勝。

 ブラウンGP直接のライバルであるレッドブル勢は、ウエーバーがオープニングラップでいなくなり、ベッテルもレースのほとんどの時間帯で得点圏外。最終ラップのハミルトンの自滅でベッテルが8位入賞となり望外のポイントを拾ったものの、わずか1点に過ぎない。2位のレッドブル勢とポイントで大差をつけているブラウンGPとしては、蚊にさされたほどの痛みもないから、自チームのドライバーであればバリチェロ優勝でいっこうに構わないのだった。

 1レースでの優勝と2位の得点差はわずか2点に過ぎないし、あと4レースもあるんだから、バトンを優勝させようと思えばまだ機会は十分ある。それに今は、昨年のシンガポールGPでの“クラッシュ・ゲート事件”(ルノーが故意に事故を起こしてアロンソを優勝させたとされる事件。チーム代表のF・ブリアトーレらが責任をとって退団)が話題沸騰の真っ最中なのだ。下手に無線暗号などを送ってチームオーダーでバトンを先に走らせたりしようものなら、「そら来た!」とばかりにFIAにお縄をうたれること必定だ。微塵もお上に楯突くそぶりなぞ見せられないこともあって、1位2位の序列で気を揉む事など無用のことだったのだ。

 それにしても、と思う。

 ブラウンGP快走のレースの後は、なんでこう盛り上がらないのだろうか。

 今回のレースも、最高に盛り上がったのは最終ラップのハミルトンのクラッシュの恩恵で、フェラーリのライコネンが表彰台に上がった時だった。さすがにブーイングこそないものの、ブラウンGPときたらいまだ試作車のようなマシンのカラーリングといい、借り物のようなレーシングスーツといい、色気のないことおびただしい。レースっぷりは鮮やかといえば鮮やかだが、なんだか数学の方程式を解いているのを傍から見ているような塩梅で、ああ、やっぱりモンツァでは1回ストップが有利だったんですねェと相槌を打ってそれまで。レースを反芻して楽しむ滋味がない。捨てる寸前のチューインガムみたいなもんだ。これならよっぽどフォース・インディアの方が妙味がある。

このままバリチェロが優勝を続けると年間王者に?

 ところで、このモンツァでヨーロッパ・ラウンドは終了となる。今回のブラウンGPワン・ツーで、レッドブル勢はほぼタイトル争いから脱落したと見ていいが、この先もバリチェロがバトンより先着するようなことはないのだろうか?

 大いにあり得る話だろう。

 なぜならバトンにビビリが入ったというか、優勝を狙って猛アタックをかけるという気迫がまったく感じられなくなったからだ。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  まったく危機意識の無いバトンにやる気満々のバリチェロ。

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