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最先端のデータ解析と精神論で
岡田ジャパンは「ベスト4」を狙う。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTamon Matsuzono

posted2009/11/04 10:30

最先端のデータ解析と精神論で岡田ジャパンは「ベスト4」を狙う。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

野球では古くから活用されてきたデータ解析だが、サッカーではここ10~15年ほどの話。2010年南アW杯ではさらなるハイテク合戦になることが予想されている

データは重視するが「数字に振り回されてはいけない」。

 しかしながら、岡田がデータに傾倒しているわけではない。岡田体制下のマリノスで分析を担当したコーチはこう言っている。

「分析にあたって、岡田さんからは『数字に振り回されてはいけない』と常々言われていました。データというものはうまく使わなければいけないということでしょうね。岡田さんは自分の考えを裏付けるものとして、データ、数字を使っていました。だから選手に対して『こういうデータがあるから、こうしろ』とか言ったことはない。データありきではなく、あくまでツールのひとつとしてデータを使っていた印象です」

 精神論やロジックを交えながら、ミーティングで効果的にデータを使う。岡田のその手法はマリノス時代がベースになっている。

“情報戦”を制することがW杯ベスト4への近道だ。

 岡田ジャパンが目標に掲げる「1人12km」にも近づいてきた。10月の3連戦で意識させたアーリークロスを点で合わせる攻撃も、分析に基づいたものだ。一度に要求するのではなく、段階を踏まえてデータを使ってきたことでより高い効果を得ることができた。

 だが、「ベスト4」という野望を達成するためには、データをさらに最大限にまで駆使しなければならない。本大会を想定して自チームでいえば高地や、連戦における運動量の変化などもきっちり把握しておく必要があるだろう。W杯の舞台となる南アフリカへの遠征は、そういったデータを収集できる貴重な機会となるはずだ。

 最先端の解析ソフト事情に詳しい関係者は「選手やボールの動き、速度、距離など今や自チーム、相手チームのどんなデータも出てきます。数字だけでなく、多角的、立体的にもなっている。このおびただしい情報量を活かすことができれば、チームの大きな力になるはず」と話す。“情報戦”に勝利することが、本大会での勝ちにつながるともいえる。

 データの選別、処理に、選手に対するアウトプットの方法、タイミング。データを生かすも殺すも岡田の腕にかかっている。

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