ジーコ・ジャパン ドイツへの道BACK NUMBER

2005年東アジア選手権VS北朝鮮戦(2005年7月31日) 

text by

木ノ原久美

木ノ原久美Kumi Kinohara

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photograph byNaoya Sanuki

posted2005/08/02 00:00

2005年東アジア選手権VS北朝鮮戦(2005年7月31日)<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

 今年2戦2勝した相手への気の緩みか。

 日本は優勝を狙っている東アジア選手権初戦で北朝鮮と韓国の大田(テジョン)で対戦したが、1−0で破れ、4ヶ国中最下位スタートになった。

 先発は川口、田中誠、宮本、中澤、加地、福西、遠藤、三都主、小笠原、大黒、玉田で3−5−2のフォーメーション。6月のコンフェデレーションズカップを戦った欧州組は所属クラブでの新シーズンへの準備で不在ながら、先発にはなじみのある顔ぶれが揃っていた。

 だが、彼らのプレーにいつもの勢いや集中ぶりが感じられない。ボールをつないで試合を組み立てようという意図は感じられるが、パスも動きも緩慢で、連係プレーにスムースさがない。ピリッとした雰囲気がないまま、前半27分にミスが2本立て続けに起こり、失点した。

 ペナルティエリアの少し手前で、MF小笠原からMF福西へ出したパスが福西へ届かず、相手MFキム・チョルホに渡ってしまい、シュートを打たれる。ゴール前にカバーに入った中澤が蹴り出すが、中澤のクリアは短く、再びキムの足元へ。慌てる日本選手らを尻目に、北朝鮮はゴール前で冷静にパスをつないで、最後はフリーで走りこんだFWキム・ヨンジュンがゴール左隅へ決めた。

 日本は後半からDF田中誠に替えてMF本山を投入し、さらにFW田中達也、FW巻ら新鋭を登場させて巻き返しを図った。63分の本山や72分の三都主、86分の田中達也のシュートなど惜しい場面もあったが、得点には至らなかった。

 「もっとシンプルにやればよかった」と中澤は自分のミスを悔やんだが、安全第一のエリアでのプレー判断が狂ったのは、今年の対戦成績から、相手を見下していたところがあったからではないか。

 今年6月のバンコクでの対戦(2−0)はさておき、2月の埼玉での対戦(2−1)では粘る北朝鮮にずいぶん苦労させられて、大黒の終了間際のゴールでなんとか勝ったという展開だった。そのことを思い出せば、決して油断していい相手でないことや、今大会の開催地が彼らと同じ民族の土地であることなどを考えれば、北朝鮮が一矢を報いようと積極的に来ることは容易に想定できたとは思うが…。

 ジーコ監督もこの点を懸念して試合前に選手に警戒を促したというが、残念ながら警告は効かなかった。

 W杯最終予選、コンフェデレーションズカップ、Jリーグと連戦からくる疲労の影響も否定できない。また、所属クラブの試合の都合で、招集した選手全員が顔を揃えたのが大会前日だったという、チーム全体としての調整の難しさもあったのも事実だ。

 一方、ジーコ監督が敗因に挙げたのは「疲れよりは決定力の問題」。惜しい場面で入らない、枠に行かないという相変わらずの問題はこの試合でも露呈されていた。

 確かに、そういう面もあったが、まず求められる最低限の試合への態度は精神面ではないだろうか。まさかの失点で動揺してしまえば、「シュート場面で焦ってしまう」とジーコ監督が日頃から指摘している決定力にも影響する。

 「相手の日本に勝とうという気持ちが強くて、受身になってしまった」と中澤が振り返った。

 試合後、北朝鮮選手らはベンチ前で勝利を祝って監督を胴上げした。

 ジーコは言う。

 「北朝鮮が喜ぶ姿を選手たちは目の当たりにした。口で言うより肌で悔しさを感じたときに日本のよさが出るだろう。相当強い精神力がないと、厳しい試合はモノにはできない」。

 日本は8月3日に同じ競技場で中国と、最終日7日に大邸(テグ)で韓国と対戦する。

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