ジーコ・ジャパン ドイツへの道BACK NUMBER

そして、次も勝ちに行く。 

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木ノ原久美

木ノ原久美Kumi Kinohara

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photograph byYUTAKA/AFLO SPORT

posted2004/09/13 00:00

そして、次も勝ちに行く。<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

 日本は、9月8日、コルカタで行われた2006年W杯アジア地区1次予選のインド戦で、日本はハーフタイムの停電というハプニングに見舞われながらも4−0で快勝した。

 試合前日に長時間のフライトで乗り込むハードスケジュール、高温多湿の気候、10万人のアウェーの観客、そしてハーフタイムの停電…。試合を難しくする要因はいろいろ揃っていた。特に、後半開始が30分遅れるという停電のハプニングは、精神的にも身体的にも選手のコンディションに影響を与えるものだったが、日本選手は集中を切らさずに対応。後半3点を奪った。

 守りを固めたインドのプレーに悩まされながらも、前半終了間際のFW鈴木の先制ゴールで折り返した日本は、長いハーフタイムの後、後半13分にMF小野がFKを直接決めて勝利を決定付けた。

 その後、後半26分には交替出場のFW久保からパスを受けたMF三都主が、相手DFをひきつけながらペナルティボックスに切り込んでクロスを上げ、中央にフリーで走りこんだMF福西がヘディングで3点目を押し込んだ。後半41分には右CKをゴール前でDF中澤が頭でつないだボールを、DF宮本が左からボレーで叩き込んだ。

 「前半1−0で終われて追加点を取れたのがよかった。厳しい試合をよくものにした」と、ジーコ日本代表監督はチームのパフォーマンスに満足そうにコメントした。

 「後半開始が長引いて体がさめていたので、気を引き締めて、みんなが全力で試合に臨んだ」と小野は話し、「むずかしい試合になると思っていた。4点入ってすごくよかった」と続けた。

 日本のアウェーでの4得点勝利は、1996年のオーストラリアとの親善試合以来。その勝ちが、この日始まった1次予選後半戦の展開を、日本にわずかながら有利なものにした。

 この日、オマーンはアウェーでシンガポールと対戦して2−0で勝利したが、日本は4連勝で勝ち点を12に伸ばし、アジア予選3組で最大のライバルであるオマーンに勝ち点で3ポイント、得失点で1リードした。

 W杯予選では、勝ち点の次は当該チーム同士の対戦成績が優先され、次に得失点差の争いとなる。このため、2月の対戦でオマーンに1−0で勝っている日本は、次のオマーン戦(10月13日、マスカット)で引分け以上であれば、11月17日の最終戦(対シンガポール、埼玉)を待たずに、一次予選突破が決まる。

 しかし、オマーン戦で負けると状況は一変する。1点差負けではグループでの総得点の争いになり、2点差負けでは直接対決の成績が下回ることになり、日本は予選敗退となる。

 オマーンは、2月のW杯予選での対戦でも苦戦を強いられた。7月のアジアカップでも対戦しており、日本との対戦には慣れている。今度の対戦はオマーンのホームで、しかも、日本に勝って11月の最終戦勝負に持込みたいオマーンは、満を持して日本を迎え撃つ用意をしてくるはずだ。10月のオマーンはまだまだ暑い。再び厳しい試合になることは必至だろう。

 だが、中国でのアジアカップ、今回のインド戦と、厳しい条件下でのプレーでたくましさを増した日本選手。今回、アジアカップ優勝メンバーのMF中村、FW玉田、FW柳沢はケガなどで不在だったが、FW高原、久保、小野が復帰し、誰が出てもチームとして一定レベルのパフォーマンスが出せることを示した。

 10月のオマーン戦に向けて、心配があるとすれば、けが人と“勝ち点1でOK”から生まれるかもしれない油断か。

 「引分けで十分?次も勝ちに行く」と、ジーコ監督は言った。

 W杯予選の厳しさは熟知している。気を引き締め直せ。すでに照準を次の戦いへ合わせた指揮官から選手への警鐘のメッセージだった。

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