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マイナーリーガーのオフシーズンの過ごし方 

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荒川祐輔

荒川祐輔Yusuke Arakawa

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photograph byYusuke Arakawa

posted2005/01/05 00:00

マイナーリーガーのオフシーズンの過ごし方<Number Web> photograph by Yusuke Arakawa

 マイナーリーグについてのコラムも今回で最終回となりました。最後は、「マイナーリーガーのオフシーズンの過ごし方」をテーマに書きたいと思います。

 マイナーリーガーといえども、職業はプロ野球選手です。プロ野球選手と聞いて、皆さんの頭に思い浮かぶことはなんでしょうか?僕は小さい頃、プロ野球選手は普通の職業よりも華やかで、高額なサラリーをもらっている職業だと思っていました。プロに入るのに契約金なども発生するわけですから……。プロ野球選手と言えば、一般社会のサラリーマンより多くお金を稼いでいる、と思っている人々が日本では大多数だと思います。

 しかしアメリカのマイナーリーガーは、日本のプロ野球選手とは違い、とても厳しいサラリーでやっているのが現状です。もちろん、選手によって契約内容も様々なので一概には言えませんが、基本的には、同年代の会社員より給料が少ない選手が大半ではないかと思います。給料のシステムも日本の年棒制とは違います。アメリカのマイナーリーグはいつリリース(解雇)されるか分からないですからね。給料の支払い方法は、一ヶ月に二回チェック(小切手)をもらい、通常は六ヶ月しか給料が出ません。つまりシーズン中しか給料はもらえない、ということになります。

 そのため、マイナーの選手はシーズンが終了すると同時にアルバイトを始める人がたくさんいます。シーズン中にもらっている給料だけでは一年間生活をしていけないからです。メジャーの選手はそんなことはありえませんが、マイナーの選手は当たり前です。シーズンが終わったらアルバイトもしなくてはいけないし、並行して練習もしなくてはいけない、という生活を皆送っているのです。

 もっとも、必ずしもマイナーの選手が全員そういうことをしているとは限りません。たとえば僕の場合は、社会人で三年間働いていたので少しは貯金をもっていましたから、それを切り崩しながら生活をしています。また、ドラフトで上位指名の選手は高額な契約金を手にしているので、アルバイトをしなくても生活していけます。

  いずれにしても、こういったアルバイトなども、メジャーに上がるための重要なステップなのですが。

 僕のオフシーズンの過ごし方ですが、僕はアメリカに行くと決まった年から、株式会社ストロングス、大川達也代表のご好意のもと、自分にあった練習プログラムを作ってもらい、一流アスリートの方々と一緒にトレーニングをしています。半人前の僕にとっては、一流アスリートと行う練習は勉強になりますし、自分にとってとても貴重な体験になっています。これもひとえに大川代表のおかげです。

 ここで少し、大川代表についてご紹介したいと思います、大川代表が取り入れているトレーニング方法は「スロートレーニング」です。この方法は、トレーニングでの怪我が少なく、効率よく短い時間で全身の筋肉が鍛えられるという効果を持っている、とても素晴らしいトレーニング方法です。僕もスロートレーニングを体験するまでは、怪我の多い選手でした。ウェイトトレーニングはしていたのですが、体が小さく、投手に必要な筋肉が鍛えられていなかったのです。しかしスロートレーニングをはじめて二年。怪我が少なくなり、体重も10キロ以上増え、自分でも筋肉がついたことを実感できました。スロートレーニングという名称なので楽なのかと思ったのですが、とてもハードです。色々な分野の方々でも使えるトレーニング方法なので、皆さんも是非一度試してみてください。

  さて、このコラムを通じて、マイナーリーグについて少しでも分かってもらえたでしょうか? また、興味をもってもらえたでしょうか?

  まだまだ半人前の僕ですが、これからもメジャーに上がって活躍できるように、今できることをしっかりやっていきたいと思っています。どうか、応援よろしくお願いします。

  最後に、このコラムを読んでくださった皆さま、このコラムを作るにあたって協力してくださったたくさんの方々に、心からお礼申し上げます。ありがとうございました。

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