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コパ・アメリカ正式辞退の内実。
日本サッカー協会、ふたつの誤算。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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posted2011/05/19 11:55

コパ・アメリカ正式辞退の内実。日本サッカー協会、ふたつの誤算。<Number Web> photograph by KYODO

元FIFA理事にして、『サッカーの国際政治学』(講談社現代新書) の著者でもある小倉純二日本サッカー協会会長をもってしても、今回の難題は解けなかったということか……

参加するための知恵を絞り切ってもらいたかった。

 協会も最終的にはザッケローニの意思を尊重していたように思う。

 でなければ「一人のみ招集したい」と伝えていたJリーグの各クラブに対して新たな協力を求めていたはずだ。欧州組の招集が不発に終わりそうな予測に立てば、若手一人から主力一人に切り替えて交渉する働きかけがあってもおかしくはなかった。

 だが、そのような動きはまったくもってなかった。

 筆者個人としては、出来る限り参加に踏み切ってもらいたかったという思いが強い。

 国内の選手のなかでも「可能であれば出たい」という声も少なくなかった。メンバーのレベルを下げてまでとは言わない。しかし、国内組の主力を各クラブから一人と、間口を広くした欧州組を中心に構成して1.5軍に近い編成には出来なかったものか。

 テスト的な意味合いと強化を兼ねた大会として、協会と指揮官の間に妥協点を見い出せなかったものか。

 あるいは、南米連盟に対してFIFAに協力を促すようもっと働きかける策はなかったか。

 参加するための知恵を絞り切ってもらいたかった。

歴代の日本代表チームもアウェーで世界の強豪と戦って強くなった。

 歴代の日本代表もアウェーで世界の強豪と戦うことで成長を遂げてきた。

 トゥルシエ時代には1999年のコパ・アメリカで惨敗を喫してメンバーを入れ替えるきっかけとなり、サンドニで0-5という大差で敗北したフランスとの一戦(2001年3月24日)は選手たちの奮起を促すことにつながった。先の岡田ジャパンの時も、アウェーでのオランダとの親善試合(2009年9月5日)がターニングポイントとなったことは記憶に新しい。

 アウェーの地で南米の強豪と、それも公式戦で対戦できることはチームにとっても、選手個人にとっても得がたい経験になったはずである。

 ブラジルW杯に向かう上で、大切なステップを踏み外してしまったのではないか、という気がしてならないのである。

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アルベルト・ザッケローニ

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