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諸見里しのぶ 「大切なものを持って帰りたい」 / ゴルフ全英女子オープンへの決意 

text by

生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byKiyoaki Sasahara

posted2009/07/27 11:31

諸見里しのぶ 「大切なものを持って帰りたい」 / ゴルフ全英女子オープンへの決意<Number Web> photograph by Kiyoaki Sasahara

7月30日からの大舞台に挑むのは、国内勢きっての若き名手。
諸見里しのぶは今季、精神的に逞しくなり、快進撃を続けている。
劇的ともいえる変身。その蔭には栄冠への並々ならぬ意欲があった。

 トーナメントでの佇まいにはオーラが漂ってきた。

 おそらく、内面から湧き上がる自信が雰囲気を醸成しているのだろう。

 今年、日本の女子ゴルフツアーで、諸見里しのぶが絶好調だ。

 5月からの2カ月間で3勝をマーク、賞金ランキング上位5人に与えられる全英女子オープンの出場権をがっちりとつかんだ。

 今回、全英女子オープンには9人の日本人選手が挑戦する予定だが、諸見里に大きな期待がかかるのは、今季マークした3勝のうち、2勝がワールドレディス、サントリーレディスと4日間制のトーナメントのものだからだ。

 3日間制で行なわれることが多い日本の女子ツアーの中で、技術だけでなく、精神面での安定性を要求される4日間のトーナメントで2勝をマークしているところに、今年の諸見里の充実ぶりがうかがえる。

「崩れない」諸見里。いままでとは何が違うのか。

 '05年にプロテストに合格した諸見里は、'06年から毎年1勝ずつ挙げてきたが、アメリカツアーにも挑戦した大器にとって、その戦績はどちらかといえば物足りないものだった。昨年までは「最終日に勝ち切れない」というイメージもあった。ところが今年は崩れない。それどころかライバルをグンと突き放す展開が見られるようになった。

 おそらくは、ブレイクスルー。その要因はどこにあるのか。

「たぶん、目標設定が明確になったのが大きいと思います。去年までは『年間何勝したい』って漠然と考えていただけだったし、試合中も先読みをしすぎて『ここでバーディを取らなきゃいけない』と余計なプレッシャーを自分にかけて、パニックになってしまったり。それが今年は、今日はどういうゴルフをしたいのか、最終日であれば優勝するためにいくつまでスコアを伸ばす必要があるのか、そのためにはバーディを何個取るのかという目標が具体的にイメージできるようになったんです。そうなると、このホールではバーディを狙うのか、それともパーでいいのか、という狙いもハッキリしてくる。だからいまは優勝するにも細かい目標がたくさんあって、それをひとつひとつクリアしていく感じです」

 ゴルフはプレーしている時間の99%は考える時間で、残りの1%が実際にクラブを振り、パターでカップを狙う時間ともいわれる。つまり「99%」の部分が非常に大きく、メンタリティの充実が成績に直結する。諸見里の明快な言葉に、今季の充実ぶりがうかがえる。

海外のトップ選手のプレーをイメージして、自分を高めていく。

 全英女子オープンの出場が確定してから、練習、試合での意識はますます高まってきたという。

「クラブを握っている時は全英女子のことを常に意識するようになりました。海外のトップ選手だったら、こういう状況では絶対にミスしない、だったらこのショットを試しておこうと考えたり。もし成功したら、自信につながるし、失敗しても次につなげればいいという気持ちでいます。精神面でも、優勝が現実的になってきて緊張したりすると、『ここでアガってたら全英でどうすんのよ?』って考えるようにしてます。いまはすべてが全英女子につながってる感じです」

<次ページへ続く>

► 【次ページ】 「悔しさ」が諸見里を全英女子に駆り立てた。

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