<クロスカントリーの2人のエース> 夏見円&石田正子 「葛藤と一徹」 ~特集:バンクーバーに挑む~

関連アスリート・チーム:

チーム・選手名
石田正子
夏見円

日本史上最高の成績を挙げた昨シーズン。

 得意とするのはディスタンスである。10kmから30kmを走り続ける種目だ。30kmであれば、おおよそ1時間半前後の長丁場となる。

 昨シーズンは充実した1年となった。

 今年1月のバンクーバー五輪のテストを兼ねたワールドカップの複合では自己最高に並ぶ14位。2月のイタリア大会では10kmクラシカルで自己最高の11位。

 同月の世界選手権では、10kmクラシカルで8位、複合で14位。ともにその種目では、オリンピック、世界選手権を通じて日本史上最高の成績である。世界選手権のチームスプリントでは、好調を買われ、夏見とともに急きょ起用される。主戦である中長距離とは異なる種目に、「よく分からないのでついていこうと思いました」と言いながら好走を見せ、4位入賞を果たした。

日本初の表彰台にも「練習でのことが出ただけだと思います」。

 ハイライトは、今年3月にノルウェー・トロンハイムで行なわれたワールドカップでの30kmクラシカルである。長距離では日本初の3位、表彰台に上ったのだ。

「以前、10番以内にすら入れない頃には、10番以内というのが全然イメージできませんでした。世界選手権の10kmクラシカルで8位に入れて、あ、10番以内はこんな感じなのかと分かって、次に3番以内に入って表彰台はこういうものなんだと分かった。経験することで、イメージをしやすくなりました」

 と、淡々と話す。

 大会で見ていても、あまり動じることのない性格のように思える。悩みもなさそうなくらいに。そう話すと、笑って答えた。

「そんなこともないと思うんですけど、けっこうまわりにはそういう印象を与えることが多いかもしれませんね。高校時代に顧問だった先生に会っても、『いいなあ、お前はいつも元気だ』って。先輩たちにも、『いつも元気そうだね』って(笑)」

 そしてあらためて昨シーズンを語った。

「練習でのことが出ただけだと思います」

 試合での後半の強さ同様、練習に粘り強く取り組んできた石田は、一歩一歩階段を上るように、今日の位置までたどりついたのだ。

<次ページへ続く>

► 【次ページ】 あの感覚を取り戻せたらいけるというのは分かっている。

筆者プロフィール

松原孝臣

1967年、東京都生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。著書に『お酒の資格と仕事』『高齢者は社会資源だ』など。その後「Number」の編集に10年携わり、再びフリーに。五輪競技を中心に取材活動を続け、夏季は'04年アテネ、'08年北京、冬季は'02年ソルトレイクシティ、'06年トリノ、'10年バンクーバーと現地で取材にあたる。


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