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悲願のトップ100で見えた
「国産」添田豪の新境地。
~テニス全仏オープン出場へ~ 

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byHiromasa Mano

posted2011/05/22 08:00

悲願のトップ100で見えた「国産」添田豪の新境地。~テニス全仏オープン出場へ~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

4歳でテニスを始め、日本男子で錦織圭に次ぐ6人目のトップ100に入る快挙を果たした

 世界ランキング2桁は添田豪の悲願だった。2009年2月に106位、'10年9月には104位まで浮上しながら、最後の壁を破れなかった。あと少しというところで失速、その繰り返し。ここで勝てば、という思いは、ともすればプレッシャーに変わる。添田はその闘いに勝てずにいた。しかし、この3月、中国のチャレンジャー大会に優勝し、ランキングは初の2桁、91位に浮上した。

 世界ランキングを持っている男子選手は1772人(5月2日現在)。その中で、2桁は一流の証明だ。予選免除で四大大会に出場できる大体の目安が100位。海外では、賞金やスポンサー契約を得て競技活動を続けられるのはおおむねこのクラスの選手までだ。したがって、若くして自分に見切りをつけ、不本意ながら引退していく選手も少なくない。

 当然、添田もこの数字の意味が分かっていた。だからこそ、目標が近づけば近づくほど勝ちたい気持ちが空回りした。「このまま100位を切れずにテニス人生が終わってしまうのではないか」と思ったこともあったという。

テニス留学をした錦織圭と異なり、「国産」でも戦えることを証明。

 しかし「心の奥底では自分を信じていた」と添田。ここ1、2年は文字通り目の色が変わっていた。100位にも入っていないのに「50位に入る力はある」とコメントするのも聞いた。大口を叩くタイプではない。どうにかして自分の殻を破ろうとしていたのだ。

 初のトップ100入りは日本テニス界にとっても大きな出来事だった。彼は錦織圭のようにテニス留学で腕を磨いた選手ではない。日本のアカデミーに所属し、高校総体にも出場した「国産」の選手だ。錦織の活躍で、指導者の間には海外のアカデミーに入らなければ世界で戦えないのか、と疑念が広まったはずだ。だが、添田は国産でも戦えることを証明した。あとに続く選手と指導者にとって、添田は灯台の役割を果たすことになるだろう。

 1年前に獲得したポイントが消滅したため、最新ランキングでは117位に落ちた。しかし、今の添田はランキングにはとらわれていない。日々考えるのは「これより上へ行くにはどういうプレーをしていくべきか」。苦しみ、もがきながら到達した新しい境地だ。「次のステップに進んでいる」。添田には、その確かな手応えがあるという。

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