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声よ響け!杜の都に。 

text by

熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

PROFILE

photograph by

posted2005/01/20 00:47

SPECIAL FEATURES

 

[私設応援団誕生物語]声よ響け!杜の都に。

 

 

熊崎敬=文

text by Takashi Kumazaki

杉山拓也=写真

photograph by Takuya Sugiyama

 

 年の瀬も押し迫った12月のある日の晩、仙台駅東口からほど近い榴ヶ岡のみやぎNPOプラザで、重要な会合が開かれていた。

 袖に炎の黒シャツを着た菅原さんという青年が立ち上がり、おずおずと話し始める。

 「ええ……応援団の名称が決まりました。チームリベロ、ということで……」

 菅原さんは照れ笑いしていて、それを聞いている商店街のおやじさんたちの何人かは、「何じゃ、そりゃ」という感じで小首を傾げている。「昇鷲会」のような、いかにもな名称を期待していたのだろうか。

 「リベロというのはサッカー用語で自由という意味がありまして……自由なスタイルで応援したい、と……そこで今日は何でもいいので、応援のアイデアを募りたく……」

 今回で7回目となる「楽天応援市民の会」の会合、さて、どんな意見が飛び出すのやら。

 「わたしはロートルですので、サッカーののべつ幕なしに騒ぎ立てる、という応援にはついていけないんですが、そのフレーズなり歌なりというのは、どんな状況で使うんですか」

 「例えば、マリーンズは選手の名前を連呼する応援が多いんですよ。ボーリック!ボーリック!という具合に。とりあえず、名前を連呼するだけでも形にはなるんですよ」

 「例えば得点が入ったときにすずめ踊りをするのはどうですか。センスのいい応援をするには、扇子が必要だということで」

 「グッドアイデアですねえ!」

 この会の顧問役である竹内さんの提案をきっかけに、議論は一気に熱を帯びてきた。

 「扇子は手軽に持っていけるし、夏は涼しい。この、日本に昔からあった優れものの扇子を利用して、応援をするわけです」

 「メガホンなんかなくても僕たちは応援できますよ、ということですね」

 「新しい応援スタイルということなら、対戦相手によって応援の場所を変えてもいいんじゃないですか。そこにもっともらしい意味づけができれば、面白いかもしれないですね」

 「鳴り物なしというのは、実際どうなんでしょう。地域の嫌なこと、選手の嫌なことをやめれば、太鼓くらいあっても……」

 「でも、一回でもやったら、やったじゃないかってエスカレートすると思いますよ」

 「だけど、やっぱり、すずめ踊りは笛と太鼓がないと……」

 「オーロラビジョンができるんで、その音響には期待できますけど。でも、東北っぽくて、うるさくない楽器ってないですかねえ」

 「ほら貝!」

 「おお!」。一同、鋭く反応。

 「でも、最初から鳴り物に頼ってしまうと……。声と拍手でやってみて、それで不便だったら、また知恵を出し合うことにしましょうよ」

 2時間近くに及んだ会合で決まったのは、応援団は内外野それぞれの自由席に陣取ること、鳴り物なしとありの2パターンの応援を準備すること、すずめ踊りの導入を検討すること等々だった。とりあえず、一歩前進である。

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