オフサイド・トリップBACK NUMBER
過去と比べあまりにも「地味」過ぎ?
マンU&ファーガソンの黄金期を検証。
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/05/13 10:30
1986年からマンチェスターUの指揮を執るサー・アレックス・ファーガソンも今年で70歳を迎える。ギグスやベッカムなど「ファーギーズ・フレッジリングス(ファーガソンの雛鳥)」と呼ばれるスター選手たちがいる
ベッカムらスーパースターとサッカーバブルの時代。
それから約30年後、2度目のヨーロッパ制覇がもたらしたものははっきりしている。
ベッカムをはじめとするスーパースターの登場、そして史上空前のサッカーバブルと共に、マンUが世界的なブランドとしての地位を固めていくきっかけである。
加えて当時のチームには、出場選手中4名がユース育ち、しかもほぼ同世代の選手が占めているという特徴があった。これ以降しばらくの間、マンUの躍進を支えるとともに、イングランドサッカー界の顔役としてのイメージを決定づけた。
ノッティンガム・フォレストやアーセナル、マンUなどでDFとして活躍し、黒人選手として初のフル代表キャップも得た事でも知られるビブ・アンダーソンは、マンチェスターでの取材で次のように証言してくれた。
「アーセナルも若手を育てているが、あそこは外国人が多い。イングランドの優秀な選手を育ててそのまま1軍に送り込み、成功しているというのは、ユナイテッドの一番の特徴だと思う。この層の厚さはリバプールもかなわない」
「若くはあるが外様」の選手たちで優勝した'07-'08シーズン。
'99年のマンUは「ユース上がりで、なおかつスター性を秘めた選手」がいたチームだったといえる。それに比べると3度目のヨーロッパ制覇を果たした'07-'08シーズンのチームは、ロナウド、テベス、ルーニーという「若くはあるが外様」のスターを軸にした集団だった。
CLの決勝で対戦したのはチェルシー。
プレミア勢の勢いと羽振りの良さを象徴する試合だと言われたが、延長からPKにもつれ込んだからこそ盛り上がったようなもので、プレーは守備的な側面ばかりが目立ち、面白みにも創造性にも欠けていた。
サッカー自体は'06-'07シーズンの方がはるかに見るべきところがあったし、結局マンUはこの「付け」を翌年バルサに払わされている。