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大番狂わせを演じた
グリズリーズの“信じる力”。
~NBAプレーオフで奮闘中~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byNBAE/Getty Images

posted2011/05/14 06:00

試合中に談笑する負傷中のゲイとランドルフ。結束力を武器に、プレーオフ1回戦を初突破

試合中に談笑する負傷中のゲイとランドルフ。結束力を武器に、プレーオフ1回戦を初突破

 ティム・ダンカン(サンアントニオ・スパーズ)の言葉が、多くの人の感想を代弁していた。

「そのうちプレッシャーで崩れるだろうと思っていたが、そうではなかった。彼らはシュートを打つべき時に打ち、決め続けた」

“彼ら”とは、メンフィス・グリズリーズのこと。西カンファレンス8位シードでプレーオフに進出。1位シードのスパーズを相手にアグレッシブに戦いを挑み、初戦から主導権を奪い、シリーズ4勝2敗で勝ち抜けるという大番狂わせを演じたのだ。8位が1位を倒しただけでもリーグ史上4回目という特別な出来事なのだが、スターターの平均年齢が26.4歳と若く、プレーオフ経験もほとんどないグリズリーズが、スターター5人中3人に優勝の経験があるスパーズを相手に堂々と戦い、プレッシャーに負けることもなかったのは意外だった。

 もっとも、チームのエース、ザック・ランドルフによると、驚くようなことではないという。

「僕らはシーズンを通してずっとそういう試合をしてきた。でも、全米放映で取り上げられることが少なく、知られていなかっただけなんだ」

主力の離脱をバネに、選手層が厚く結束力の強いチームに成長。

 チーム成長のきっかけとなる出来事は2月に起こった。主力の一人、ルーディー・ゲイが2月に左肩を脱臼、3月に手術を受けて今季戦力外となったのだ。

 それでも誰一人、プレーオフを諦めることはなかった。戦力補強でベテランのシェーン・バティエを獲得し、選手たちそれぞれが少しずつ穴を埋め、増えたプレータイムで成長を見せた。

「色々と逆風はあったけれど、それで落ち込むのではなく、全員が少しずつ多くの燃料を入れてプレーするようになった」と、控えガードのOJ・メイヨは言う。

 その結果、選手層が厚く、結束力の強いチームになった。ゲイもコートに立てない悔しさを抑え、ベンチから試合を見て、チームメイトにアドバイスをすることで貢献しようとしている。

 いつの間にか定着したチームのモットーは“We believe”(信じる)。ヘッドコーチのライオネル・ホリンズは言う。

「私たちは少しでも希望があれば、それだけで前に進むことができるんだ」

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