FC東京監督 城福浩は理想を説く。 <一冊のノートが組織を変える>

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チーム・選手名
城福 浩
FC東京

ナビスコ杯決勝進出を5年ぶりに決め、いまJリーグで最も注目すべきクラブの一つがFC東京だ。しかし、若き指揮官が追い求めているのは結果だけではない。
試合を経るごとに増えるノートの書き込みは、目指すべきサッカーへの架け橋でもある。

 何がチームを変貌させたのか。

 JリーグのFC東京は、長期にわたる低迷を抜け出そうとしている。リーグでも注目を集めるクラブの一つへと変わった。

 2000年のJ1昇格後、'03年に年間総合4位(当時は2ステージ制)、'04年には初のタイトルとなるナビスコカップ制覇を果たしたクラブが、'05年以降は、10位、13位、12位と中下位をさまよっていた。

 ところが昨シーズンは優勝争いにも顔をのぞかせ最終的に6位と上位進出。今シーズンも、開幕ダッシュこそ失敗したものの、6月3日に行なわれたナビスコカップ予選のモンテディオ山形戦を皮切りに、7月18日のJ1リーグ、大宮アルディージャとの試合まで8連勝の快進撃。「FC東京の試合は面白い」と称えられるほどに、注目を集めるクラブになったのである。

城福監督のノートがFC東京を変えた。

写真

解説:試合前後、頭の整理に
試合前には、ごく短い時間のミーティングで何を伝えるべきか考えを整理するために活用する。試合後はスタッツ(記録)に加えチームのパフォーマンス、采配、選手の評価など、ピッチ上で感じたままに記すという。
唯一書けなかったのは、ロスタイムに逆転負けを喫した'08年8月23日東京ヴェルディ戦の後。

 その変化は、昨シーズンから指揮を執る城福浩の存在なくして語れない。

 城福の手元には、A4サイズのノートがある。FC東京の監督に就任後、試合の前後に書き込んでいるノートだ。

「試合前、ホテルあるいは小平の練習場からスタジアムへ向かうバスに乗る前に10分ほどミーティングをします。伝えるのは相手の情報かもしれないし、自分たちのことかもしれないし、精神的なこと、テクニカルなことかもしれない。そのときによりますが、10分で伝えるために考えを整理しようと始めました」

 試合後は?

「何を書くと決めているわけじゃない。一番多いのは自分自身のこと。例えば交代カードはどうだったか。それとチームのパフォーマンスですね。選手個人の評価も書いています」

 決して書いたことをそのまま選手に伝えるわけではないと言う。現在進行形だけに、詳細はうかがいしれないが、びっしりと書き込まれた文字は、1年と半年の間、城福が発した言葉、行動の基なのかもしれない。

<次ページへ続く>

► 【次ページ】 少しずつチームに浸透していった「ぶれない」理念。

筆者プロフィール

松原孝臣

1967年、東京都生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。著書に『お酒の資格と仕事』『高齢者は社会資源だ』など。その後「Number」の編集に10年携わり、再びフリーに。五輪競技を中心に取材活動を続け、夏季は'04年アテネ、'08年北京、冬季は'02年ソルトレイクシティ、'06年トリノ、'10年バンクーバーと現地で取材にあたる。


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