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ブラジル代表密着記 「ドゥンガが吼え、ロビーニョが笑う」 

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藤原清美

藤原清美Kiyomi Fujiwara

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posted2007/07/26 23:53

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ブラジル代表密着記 「ドゥンガが吼え、ロビーニョが笑う」

藤原清美=文

text by Kiyomi Fujiwara

 コパ・アメリカ2007には、2人のエース、カカとロナウジーニョが参加しなかった。'05年にはコンフェデ杯、'06年にはW杯があり、2年続けてシーズンオフに満足な休養が取れなかった2人は、疲労を理由に辞退を申し出たのだ。

 大会前から報道陣は、「もし、誰かが辞退を申し出たら?」と、ドゥンガに何度も質問していたが、返事はいつも、

 「私の辞書に『もし』はない!」

 セレソンを辞退する選手がいることを、彼だけが予想していなかったのだ。だから報道陣がいない場所では、ちょっぴり愚痴も出る。

 「私がJリーグにいたころは、水曜に南米で試合をして、木曜に飛行機に乗り、土曜の午後に日本到着。そのままスタジアムに直行してジュビロの試合に出ていたんだけどなあ。選手として良い時期っていうのは本当に短くて、今日は世界最高でも、明日はそうでなくなるかもしれない。だから代表でプレーできる時期を、最大限活かすべきだと思う。でも、疲労の感じ方、回復のスピードは人によって違うからね。理解はできないけど、尊重しないと」

 それにしてもカカの辞退はショックだったようだ。ドゥンガには、ピッチの内外で常に話し合いをもってきたカカと、一緒にチームを作ってきたという意識があるからだ。

 「セレソンでがんばりたい。でも、このままでは疲労がケガにもつながりかねないんだ」と主張したカカ。ドゥンガと何度も話し合いが重ねられ、ようやく一件落着となった。

ロナウジーニョは嫌われた?

 ところがロナウジーニョとなると話は別だ。

 「カカにちゃっかり便乗して辞退した」

 「これでドゥンガとの間に溝が?」

 と、外野が途端ににぎやかになる。

 なにしろ、ドゥンガが監督になった当初は、ロナウジーニョがベンチを温めることが多かったからだ。その後はスタメン起用されているが、背番号は彼の好きな10ではなく、7番をつけさせられている。

 「ドゥンガはロナウジーニョのことを嫌いなのでは?」などと盛り上がる報道陣。ロナウジーニョ本人はと言えば、「みんなで一からスタートしたんだ。僕もがんばって、自分のポジションを確保しないと。背番号よりも、スタメンでプレーすることが大事なんだ」と、謙虚に語るのみ。

 では、ドゥンガは本当にロナウジーニョが嫌いなのか?― いや、そんなことはない。ロナウジーニョがフィットした試合では、ドゥンガは本当にうれしそうな表情をする。

 ただ、元鹿島アントラーズのジョルジーニョ・アシスタントコーチは、「ロナウジーニョは誰にもない才能を持っているけど、彼を活かすためのチームを作ってこそ輝くタイプ」と、語っていたことがある。ドゥンガも、「僕らはまだ、ロナウジーニョを活かしきれていない。本当は、グレミオでプレーしていた時のように、前で自由にボールを持たせて、テクニックを存分に発揮させてあげたいんだけど」と言う。彼が輝ける起用法とは?――ドゥンガの苦悩は続く。

<次ページへ続く>

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