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日韓決勝をソウルで見た! in 蚕室野球場 

text by

吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

PROFILE

photograph by“Eijinho” Yoshizaki

posted2009/04/08 09:00

日韓決勝をソウルで見た! in 蚕室野球場<Number Web> photograph by “Eijinho” Yoshizaki

 準決勝までは、フツーに東京でテレビ観戦してたんだよ。その前の週はポカポカ陽気でさ、花粉症のオレはティッシュで鼻の穴を塞ぎつつ、月曜日のアメリカ戦を眺めていた。わー、やったー、勝ったーってね。ごくごく一人のファンとして。

 アメリカに勝った直後の正午すぎ、悪魔からの着信が。出ると、ナンバー編集者から早口の「指令」が下されたのだった。

「決勝の日韓戦、韓国の雰囲気をレポートしてください。今日の最終便が夜8時ですから、明日の試合には間に合います」

 えっ!? 急じゃない? サムライジャパンのユニフォームくらいは準備してくれてるでしょう? とせめてもの待遇アップを要求してみるが……。

「それは、危険すぎますから。現地でやられないようにくれぐれも気をつけてください」

 プツッ、ツーツーと電話が切れた。

 ……まぁよい。オレの「突撃魂」を試してんだろう。それに野球の日韓戦っちゅうのも興味深い。いままでは、サッカーばかり追ってきたからね。後学のために、とオレはスーツケースに荷物を放り込んでいった。

寒いソウルは、日本への復讐心に燃えていた!

 ポカポカ陽気の東京から一転、ソウルは肌寒かった。金浦空港に着いた時点で時計の針はもうすでに23時に近づこうとしている。寒いし、さっとホテルの部屋に直行する。テレビのニュースで、WBCの話題をやっていた。イ・ミョンバク大統領自ら大会の話題を口にしたそうだ。大統領は、韓国代表キム・インシク監督のあるコメントを絶賛していた。

「国家があるから、野球がある。監督はそう言っていました。すばらしい言葉です」

 うわー、こっちは国家までは背負ってないぞ。でも負けちゃいかんと気を引き締め直す。

 夜のうちに親しい現地記者に一本だけ電話を入れておいた。野球ファンが集まって試合を見るのはどこだ? 即答で教えられた場所は、「チャムシル野球場」。寒いからさ、屋内のスポーツカフェみたいなところはないの? と食い下がるが「日本とは違うんだ」と突っ返される。とほほ。明日は寒空の下の取材になりそうだ。

 翌朝、ソウルを横断する漢江の北側のホテルから南側にある球場までタクシーで向かう。30分ほどの道のり。この間、運転手さんと激論を交わすことになる。彼は決勝戦の日韓対決を避けたかったらしい。

「アメリカに決勝に出てきてもらいたかった。日本と比べて、大味な野球をやるからね。ベネズエラは似たスタイルで、楽に勝てたし」

 なかなかの分析。しかしメディアは違う考えを持っていたようだ。タクシーに乗る前に買った「スポーツ・ソウル」には、こんな見出しがあった。

「日本のデッドボールに復讐」

 日本のファンからすれば、「そういえばあったなぁ」という感じのシーンだろう。第2ラウンド順位決定戦で内海哲也が投じた一球が、韓国の2番打者イ・ヨンギュの頭部を直撃した。これに対して本人が「復讐」という言葉を口にしたというんだから、恐ろしい! でもこういう状況こそウデの見せ所。生来の「突撃魂」が揺さぶられるのを感じた。

<次ページへ続く>

► 【次ページ】 韓国野球の聖地でチアガールと一緒に観戦。

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