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「4年後のW杯も目標に」
気仙沼出身・畠山の決意。
~復興への願いとラグビーへの情熱~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2011/05/09 06:00

「4年後のW杯も目標に」気仙沼出身・畠山の決意。~復興への願いとラグビーへの情熱~<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

「合宿のスケジュールを変えた方がいいか? ラグビーどころじゃないんじゃないか?」

 4月1日からの日本代表強化合宿を前に、畠山健介のもとには、HCのジョン・カーワンから、そんなメッセージが届いたという。

 トップリーグで3年連続ベストフィフティーンに輝いた日本最強PRの宮城県気仙沼市にある生家は、3月11日、東日本を襲った大津波に呑み込まれた。畠山は津波の直後こそ両親と連絡がとれたものの、その夜から電話もメールも一切通じなくなった。そしてテレビでは、町が夜通し燃え続ける映像が容赦なく流された。家族の無事を確認できたのは、地震から5日経った16日。それまでは繋がらない電話をかけ続け、メールを打ち続け、インターネットで情報を探り続けた。

 そんな心労を察したカーワンからの日程再考の打診に、畠山は「気にしないで、予定通り進めて下さい」と答えた。

 連絡がついた母の幸子さんからは、「こっちは大丈夫だよ」と言われた。言葉の端々に『大丈夫』では済まない重い現実は感じ取った。だが、それを口にしない両親の思いを受け止めようと思った。

畠山が見つけた2015年W杯という新しい目標の意味。

「合宿を中止にしても、僕が出来ることは少ない。それよりも、自分は9月のW杯に備えてしっかり準備するべきだと思った。W杯に出て活躍するのは、小学生の頃からの夢でしたから」

 それは本人だけでなく、両親や、地元で応援してくれた多くの人たちが共有してきた夢だったが……。

「現実的には、今年のW杯を応援に来てもらうのは難しい。本当に『それどころじゃない』と思うんです。でも4年後だったら両親もW杯の応援に来られるんじゃないか。4年あれば、気仙沼も復興できてるんじゃないか。そう考えたら、気が早いけど、2015年のイングランド大会でも日本代表に選ばれるように頑張ろう、トップレベルでプレーし続けようと。新しい目標ができた気もするんです」

 復興とはイコール「元に戻す」ことではなく、現実と向き合った上で、元の場所より進歩すること。さらなる進化に挑む畠山の決意は、災害からの再起を目指す被災地の人々にも、過去4大会未勝利に終わっているW杯を戦う日本代表にも、きっと重なるはずだ。

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