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欧州サッカーをさらに楽しく観戦する方法。 

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杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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posted2004/06/03 00:00

 モナコか、ポルトか。チャンピオンズリーグ決勝は、この号の発売日前日だったので、当然、内容や結果について触れることはできないが、いわゆる好チーム同士の決勝戦だったという事実に疑いの余地はない。両者のサッカーは戦略的。新鮮でとても進歩的な匂いがした。

 小が大を倒す痛快さにも酔いしれた。ともに超ビッグサイズではない。歴代の決勝進出チームに比べ、ずっと小さな存在だ。知恵と工夫も、存分に拝むことができた。提供したスペクタクルはとても高尚だった。勝利がスターの数に比例するのでは、サッカーは浅はかなものになり下がる。ゲームとしての魅力は失われる。両者は、サッカーの持つエンターテインメント性を最大限に引き出し、その発展に寄与したという意味においても賞賛されてしかるべきだ。

 舵取りの中心には監督がいた。デシャン、モウリーニョ。ピッチには監督の意志が見事に反映されていた。例えば、ケイロスより選手の名前の方が先に来るレアル・マドリーとは対照的だ。デル・ボスケ時代にも、似たようなことは言えたが、最近優勝した3度の中で、1、2回目に限っては、監督と選手のバランスはそれでも何とか保たれていた。選手側の肥大化が度を超えたのは、ジダンが加わり、決勝でレバークーゼンに辛勝した'01〜'02年シーズン以降である。

 ジダンらのプレーは実際見ていてとても楽しい。しかし我々は、レアル・マドリー人ではない。日本人だ。世界と比べた場合、我が代表の存在は「小」。'06年W杯でベスト16以上を狙おうというのなら、モナコ、ポルトの立場で物事を考え、推し進める方が賢いし、大人っぽい。

 次に控えるメニューには、その目線がより必要だ。ユーロ2004。国別対抗戦は、都市対抗戦の文化が浅い日本人には、感情移入も比較対照もしやすいイベントだ。存在は小ながら、一泡吹かせそうなダークホースはどこか、もし日本がそこに出場していたら、どの国に日本を投影したいか。僕の趣味はデンマーク。フランス、スペイン、ポルトガル、オランダ、イタリア、チェコ、ドイツ、イングランドなどの優勝候補より、文字通りの小国が、強国相手にどう立ち振る舞うかに興味は向く。山椒は小粒でもピリリと辛い。日本代表にそうあって欲しいと願う僕としては。

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