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誤審多発のポストシーズン。
「最悪の判定」の原因は?
~メジャーの審判に批判集中~ 

text by

津川晋一

津川晋一Shinichi Tsugawa

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photograph byYukihito Taguchi

posted2009/11/13 06:00

誤審多発のポストシーズン。「最悪の判定」の原因は?~メジャーの審判に批判集中~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 今年のポストシーズンは、地区シリーズからワールドシリーズまで、例年になく誤審の多さが目立った。リーグ優勝決定シリーズ、ヤンキース対エンゼルスの第4戦では三塁塁審が2つのミスを犯す始末。特に5回1死二、三塁での誤審は致命的だった。ヤンキース・スウィッシャーのピッチャーゴロから挟殺プレーに。三塁走者を追いかけた捕手は、ベースについていなかった二塁走者と三塁走者の双方に明らかにタッチしたものの、アウトになったのは三塁走者のみ。この判定には、全米メディアが「史上最悪のコール」と糾弾する騒ぎになった。

“聖域”にあぐらをかくMLBのベテラン審判。

 相次ぐ誤審の善後策として、MLBはワールドシリーズで慣例化していた若手審判の起用を回避し、同シリーズの経験があるベテランのみで臨むことを決断。それでもヤンキース対フィリーズの第2戦で、またしても明らかな誤審が2つも発生してしまった。あまりに多発する誤審に、フィリーズのビクトリーノは「人間のやることだから間違いはある。だけど、いったい何回やれば気が済むの?」とすっかり呆れ顔だった。

 MLBがとった善後策とは裏腹に、誤審の背景にはこの“ベテラン”審判の重用がある。実は彼らは最高で40万ドルもの高額な年俸を得る一方で、定年やクビがなく、ミスをしても降格すらない聖域となっているのだ。今季、日本人として初めて3Aの審判になった平林岳さんは「優秀な人がいる一方で、慢心してしまって何十年もやっている人がいるのも確か。メジャーの審判に昇格したら安泰だというのはやっぱり問題」と警鐘を鳴らす。近年はMLBとしてもスーパーバイザーという役職を設けて、審判の指導や査定を行ってはいるが、新陳代謝が活発に行われているとは言いがたい。

ビデオ判定よりも熟練のジャッジを期待したい。

 '85年のワールドシリーズでは、王手をかけた第6戦で9回までリードしていたカージナルスが、誤審をきっかけに世界一を逃した。そんな事態に陥らないためにも、現在は本塁打に限定されているビデオ判定の拡大的な導入も議論され始めている。ただビデオ判定で試合が最長7時間以上に及ぶという恐ろしい試算もあるし、正確さが野球の醍醐味では決してない。審判は試合の演出家と呼ばれる通り、やはり大舞台こそ真の意味での熟練した判定を期待したいのだが……。

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