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“金をかけない男”高田が担うヤクルト再建。 

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永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2007/12/13 00:00

 金をかけた改革が大きな成果を生まなかったとき、次の時代はその反動で、保守的な節約指向となる。それはどの企業でも同じことだ。

 観客動員を狙った「Fプロジェクト」が軌道に乗らなかったヤクルトもそう。改革の旗振り役だった古田敦也が去った後、球団が次の監督として高田繁に白羽の矢を立てたのは、必然だったのかもしれない。

 GMとして「金をかけないチーム作り」で日本ハムのリーグ連覇に貢献した高田。'05年、'06年のドラフトで武田勝、吉川光夫、木下達生といった無名の原石を獲得したのはその手腕の象徴だった。自分が発掘した選手を、監督、コーチに「チャンスがあったら試してくれ」と言い続け、早大時代に1勝もあげていない山本一徳が立派な戦力として成長したのも、高田の進言があったからこそと言われた。

 小笠原道大、新庄剛志らの大物が抜けた後も、大きな補強はせず、足のある小谷野栄一、工藤隆人を上手に使うことでスモールベースボールを展開。こうして見ると、緊縮財政の今のヤクルトにはうってつけの新監督だろう。

 高田は、ヤクルトでも「器に合った野球」をやろうとしている。今季200安打を打ったラミレスの退団が決まったが、神宮球場が両翼91mから101mに拡張されるのを機に、青木宣親、田中浩康、飯原誉士ら足のある選手を中心にかき回すことでイメージチェンジを狙っている。

 石井一久が西武に移籍し、最多勝のタイトルを獲ったグライシンガーも抜けそうな投手陣には、テコ入れのために西武から荒木大輔コーチを呼び戻した。ドラフトでは高校ナンバー1右腕の佐藤由規(仙台育英高)、東京六大学ナンバー1左腕の加藤幹典(慶応大)といった即戦力を獲得。「若いのを鍛えるのは得意とするところ」と自信たっぷりの高田は、彼らに加え、2年目の増渕竜義をはじめ松井光介、松岡健一などの若手に期待をかけている。さらに右ヒジを手術した五十嵐亮太、'04年の新人王、川島亮が本調子になれば、投手王国となる可能性も秘めている。

 「選手は我慢して使い続ければそんなに差が出るものではない」が口癖の実務派監督。いまや貧乏球団と化したヤクルトの再建は、高田の手腕にかかっている。

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