9月のシアトルはすっかり秋空。9年連続200安打の“イチロー狂騒曲”が一段落し、ポストシーズン進出も現実的に厳しくなってきた中旬から、次のような横断幕が連日ファンの手によって球場内に掲げられはじめた。
『もう1年やってくれ、ジュニア!』
『本当にありがとう、グリフィー』
地元のファンはケン・グリフィー・ジュニアの選手生活がいよいよ最後に近づいていることを悟っているのだ。今季マリナーズ復帰にあたって「僕はシアトルで育った。プロ生活をスタートさせたこの場所で現役の最後を締めくくりたい」と語ったグリフィー。全盛期にはほど遠い1年200万ドル+出来高で契約したことからも、シアトルを終焉の地として選んだ覚悟を窺い知ることができた。
打率は2割1分台、本塁打も20本に届かないが……。
果たして本当に今季限りで終わってしまうのか。打率は2割1分台、本塁打も20本に届かず。過去の実績と比較すると、数字的には最低のシーズンの一つになっていたことに、改めて驚かされる。逆に言えば、それを補って余りある存在感と大事な場面での活躍があるのだ。決してお世辞を口にしないイチローをして「ジュニアの存在は計り知れない。シアトルの天然記念物に指定すべき。みんなで守っていかないと」とまで言わしめた。
去年101敗を喫した球団再建のフラッグシップとして呼び戻され、近年のマリナーズに最も欠けていたリーダーシップを遺憾なく発揮。誰からも愛されるキャラで、チーム全体の空気も昨年とは明らかに一変した。最下位が確定的とも囁かれたマリナーズを、一時は首位争いにまで導いた功績は大きい。そんな無形のケミストリーを、球団がどこまで評価するかが来季契約の分岐点。そう地元記者たちは口を揃える。
「球団が来年も機会を与えてくれるのならば」現役続行も。
フロリダの自宅での家族との時間を何より大切に考えるグリフィー自身も、ここへ来て現役続行へ気持ちが強く傾いている。「ここまで来たらお金の問題じゃないんだ。チームの転換期に一員としていられることが何より。結論はオフになるが、球団が来年も機会を与えてくれるのならば、僕は喜んでここに戻ってくるつもりだよ」。古巣マリナーズとともに、未だ果たせぬワールドチャンピオンにむけて。あとは球団の判断となるが、夢の続きをもう1年見てみたい。
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(更新日:2009年10月1日)































