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単調なレースに隠れたスリリングな接戦。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

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photograph byMinoru Kobayashi/hPa

posted2004/05/20 00:00

単調なレースに隠れたスリリングな接戦。<Number Web> photograph by Minoru Kobayashi/hPa

 全日本選手権フォーミュラ・ニッポンは、3月最終週に鈴鹿サーキットで開幕し、5月第1週にスポーツランドSUGOで第2戦を終えた。開幕戦の優勝は小暮卓史、2位はアンドレ・ロッテラー。第2戦の優勝はリチャード・ライアン、2位は井出有治であった。

 表彰台に上がった顔ぶれがまったく異なっていることにご注目いただきたい。今年は、昨年のチャンピオンである本山哲が移籍し、移籍後の体制作りに時間がかかってシーズン序盤は苦戦するものと予想はされていた。確かにどちらのレースでも表彰台に本山の名は見えない。だが本山が苦戦した結果、他の選手が入れ替わりに浮上したわけではない。

 F・ニッポンは昨年、参加車両を固定し車両に対する改造を最小限に抑制するワンメイク化を行った。これにはいまだに賛否両論あるが、少なくとも車両性能差が縮まるという効果は明らかに生じた。だからこそ本山は失速したのであり、「誰が表彰台に上がるかわからない」混戦が起きているのだ。

 もっとも、第2戦をご覧になったファンの多くは「追い抜きのない単調なレース」と感じたことだろう。実際、スポーツランドSUGOのコースは現在のF・ニッポン車両にはいささか狭すぎて、抜きつ抜かれつの接近戦は容易ではない。「前に出られたら、よほどのことがないと抜き返せない」と選手もそれを認める。

 こうした事情を受けて、第2戦の決勝レースは28周と36周に分割されスタートの機会が増やされた。勝負は予選のタイムアタックと、2回のスタートにかかったのだ。実際、優勝したライアンは、気温が予想以上に低下しグリップが減少するという困難な条件の中、限界を綱渡りするようなタイムアタックを敢行、ポールポジションを獲得した。また2回のスタートでは運にも助けられながら、そのまま首位を守りきった。

 決勝レースの展開は一見単調に見えたかもしれないが、勝負のポイントではワンメイクレースならではのスレスレの接戦が繰り広げられたのである。この見えにくい激戦をなんとかファンの皆さんに伝えなければいけない。コース上で展開する激戦の一方で、我々メディアの能力と責任が問われているのだと肝に銘ずる次第である。

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