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新生ジャパンが始動。日韓戦の布石となるか。 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byKenji Demura

posted2006/04/20 00:00

新生ジャパンが始動。日韓戦の布石となるか。<Number Web> photograph by Kenji Demura

 アラビアン・ガルフ。ラグビー界では聞き慣れないチームが、'06年の日本代表にとって最初の相手だ。4月16日の秩父宮、待望のテストシーズン初戦。「知らない相手だなあ……」なんて不満を言ってはいられない。これは来年のフランスW杯をかけた戦いなのだ。

 '07年W杯のアジア予選は、アジアのIRB加盟12カ国が実力別に1部から4部まで分けられ、'04年から3年がかりで行われている。今春の1部では日本と韓国、ガルフの3カ国が戦い、2位までと2部1位が11月の最終予選(スリランカ)に進む。日本と韓国は初年度から1部をキープしている常連だが、ガルフは新参者。'04年は3部でカザフスタンとマレーシアを、'05年は2部で台北と中国を破り、とうとう1部入り。UAE、カタールなど湾岸諸国の連合チームで、'95、'99年W杯の予選にはアフリカ地区でエントリー。選手は全員がアマチュアで、IRBランクは41位。'03年4月には日本代表スコッドを除いた「日本選抜」が対戦し、79対5と一蹴している。

 この相手に、昨秋就任したエリサルド監督は若い布陣で臨もうとしている。3月30日からのフランス合宿には、早大からSO曽我部佳憲、CTB今村雄太ら4人が抜擢された一方、箕内拓郎、大久保直弥らジャパンを支えてきた中堅・ベテランが軒並み外れた。6月にはサモア、フィジー、トンガ、NZジュニアとの太平洋5カ国対抗戦が始まる。過酷な連戦を前に、ガルフ戦で若手に経験を積ませるのはリーズナブルな発想だ。

 だが日本代表を見続けている記者には、翌週23日の韓国戦がどうにも気になってしまう。日韓戦の歴史は「ベスト布陣で臨めば完勝するが、主力を欠いたり若返りを図ったりすると大苦戦あるいは負け」の繰り返し。両国の民族性や複雑な歴史も関わる戦いには、心身ともに極限のタフさが求められる。だがエリサルドは「韓国戦まではフランス合宿のメンバーで行きたい」と話しているのだ……。

 想像したくないことだが、もし韓国に敗れると? 韓国は最後にアウェーでガルフと戦う。「僕が韓国の監督なら、日本が3位に落ちるように考えてやりますよ……そうされないように、絶対勝ってもらわないと」。フランス合宿から外れた箕内は、祈るように呟くのだった。

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