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スパートの夏へ、ライコネン追撃開始。 

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今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2007/07/26 00:00

スパートの夏へ、ライコネン追撃開始。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

 トップ4がそろって2勝という拮抗した展開で迎えた第9戦イギリスGP、前週フランスに続く2連戦を勝ち抜いたのは復調著しいK・ライコネン。

 今シーズン、フェラーリF2007と新ブリヂストン・タイヤから、自分に合ったパフォーマンスをずっと探りながら6月まで戦ってきた“最速ドライバー”。納得いかない部分がどこかにこびりついていたのはたしかだ。毎戦コースサイドでウォッチしていて彼らしくない中途半端なライン・ミスや、ハーフスピンが金・土曜フリー走行で目についた。マシン・セッティングと同時進行で2種のタイヤスペックを試していく重要なこの時間帯、トップ4の中で彼とマクラーレンのF・アロンソに同じような悩みがあった。

 思い切り攻めて失敗することを彼らは悔やんだりしない。だが自分自身が攻め切れていないのにタイムロスするもどかしさ。ライコネンはチームメイトのF・マッサに、アロンソもL・ハミルトンに先行を許す結果となり、チャンピオンシップ争いでは両者ともに後手に回った。

 ヨーロッパラウンドに戻った7月、ライコネンの走りに変化が出てきた。マクラーレン時代からコーナー入口でのブレーキングよりも、出口からの加速を重視して駆け抜けるところに彼本来の速さがあった。コーナーでウォッチしたあと、走行後のタイヤ表面を観察すると、ライコネンのリア・タイヤのトレッド表面がきれいなのに気付いた。2種ともにである。偏マモウはない。一部だけがささくれたようにもなっていない。ラップタイムの安定度はデータを見れば数字上で分かることだが、こうしたタイヤの“面がまえ”のよさから走りの質向上が透視できる。

 PPスターターを追い込み、中盤ピットストップ前後にスパートして抜き去る勝ち方。実戦タイムペースを、予選一発アタックとは違う持続力でキープできたライコネン。2連勝、3勝目は『ストロング・レース』そのものだった。ライコネンと競り合い、アロンソが2位。シルバーストーン8万5000人大観衆は静まり返り、母国初PPハミルトンが次々に順位を下げていくのを見つめていた。9ゲームを終えたシリーズ中間地点で、ライコネンとアロンソが実力を出し切って追撃態勢を整えてきた。この夏、新人にのしかかるプレッシャーはいよいよ重い。

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