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隠れ首位打者マウアーが
イチローを脅かす。
~似た者同士のトップ争い~ 

text by

津川晋一

津川晋一Shinichi Tsugawa

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2009/06/25 06:00

'06年には捕手としてア・リーグ初の首位打者に輝き「史上最高の捕手」との呼び声も高い

'06年には捕手としてア・リーグ初の首位打者に輝き「史上最高の捕手」との呼び声も高い

 非の打ちどころのない活躍で、5月のア・リーグ月間最優秀選手にツインズのジョー・マウアーが輝いた。28試合に出場して打率4割1分4厘、出塁率5割、長打率8割3分8厘と3部門でリーグトップ。球団史上初の月間10本塁打、30打点をクリアする11本塁打、32打点を叩き出した。驚異的な成績のオンパレードにガーデンハイアー監督は「これはプロ野球の数字じゃない。まるでハイスクールの数字だよ」と舌を巻いた。

 マウアー自身も手ごたえは十分の様子だ。「今までよりフィールドが少し大きく感じるし、ボールも遅く感じる。試合にもゆったりとした感覚で臨めているんだ」。それはいわゆる“ゾーン”に入っている状態じゃないのか、と水を向けると「自分では分からないなあ。でもとにかく全てのフィーリングが抜群なんだ」と26歳の好青年は穏やかな笑みを湛える。

開幕DLながら絶好調を維持するマウアーとイチロー。

 驚くべきは病み上がりだということだ。昨年末に腎臓手術を受けた影響で、今季の開幕は故障者リスト(DL)で迎えた。4月をまるまる棒に振ったが、戦列復帰した5月1日の初打席でいきなりホームラン。そこから神がかり的な活躍を見せている。「決してアプローチやスイングを変えたわけじゃないんだ。ただ今は、僕が優位なカウントに引き込むことができる。それは間違いないよ」と自分でも信じられないという顔で言った。

 実はマリナーズのイチローも同様に開幕をDLで迎えたが、後に自己新の27試合連続安打と好調を維持している。「バットにボールが吸い付いている感じに見える。体の調子がすこぶる良いんだろうね」とマウアー。自身は規定打席に未到達だが、このまま好成績を続ければ球宴前にはイチローのライバルとして現れるのは確実だ。ともに2度ずつ獲得している首位打者のタイトルをめぐり、終盤にはしのぎを削っているかもしれない。

「prepare」を大切にするのは好打者の共通点?

 マウアーと会話していて気づいたことがある。それは「prepare(準備をする)」という単語をよく使うことだ。「僕はまだメジャー6年目。シーズンや試合に向けた準備の仕方をもっと学びたい。それが何より大事だと思うんだ」。準備を人一倍大切にしているのはイチローも同じこと。次の機会には、試合前のルーティンからマウアーをじっくり観察して、好打者の共通点を見出してみたい。

■関連コラム► 短いバットと200本安打。~イチローは100年前にもいた!?~ (2009年6月9日)
► 絶好調のジョー・マウアーとツインズの憂鬱。 (2009年5月31日)

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