SCORE CARDBACK NUMBER

まさかの銀メダル。シンクロが抱える課題。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

posted2007/01/11 00:00

 ドーハ・アジア大会が終わった。4年に1度のアジアの祭典らしく各競技で様々なドラマが生まれたが、一番驚かされたのはシンクロナイズドスイミングの敗北だった。'94年の広島大会から4大会連続の金メダルを目指した日本は、デュエットの鈴木絵美子、原田早穂組(ミキハウス)が、前半のテクニカルルーティン(TR)で首位に立ちながら、後半のフリールーティン(FR)で中国ペアにまさかの逆転負け。雪辱を期したチームでも再び中国に敗れ、アジアの盟主の座から滑り落ちた。さらにその直後に日本代表の井村雅代前ヘッドコーチが中国と契約し、北京五輪まで指導に当たることが判明。関係者の間に衝撃が走った。

 今回の敗北の裏に、不可解な採点があったことは確かだ。アジアではまだマイナー種目のため国際的に通用する審判員が少なく、細かい技術の評価よりも大柄な選手を揃えて見栄えのいい演技をした中国に過度に得点が流れてしまった。審判員の構成も、中国よりの国や地域が多く公平さを欠いていたことは否めない。しかしその分を割り引いたとしても、日本と中国の差がほとんどなくなっていることは事実だ。選手や首脳陣が受けたショックは、言葉ではいい表せないほどだろう。

 井村コーチがよりによってライバル国の中国に「移籍」することに関しては、賛否両論がある。だが、仁義的な批判はともかく、「五輪開催国を指導することで日本の指導者の地位が上がる」という同コーチの言葉に偽りはあるまい。世界のシンクロ界をリードしてきた日本の技術がいずれ海外に流出するのは避けられないことで、本来なら喜ぶべきことだ。日本には長年にわたって培ってきた技術があり、1年や2年で他国に真似できるものではない。井村前コーチの影に怯えるよりも、今はまず、自分たちのレベルアップに専念すべきだろう。

 今回の敗因分析はこれからだが、演技の大きさで中国より劣っていたことは、金子正子チームリーダーも認めている。日本と中国の身長差は約10cm。このハンデをどう縮めていくかが、今後の盟主奪回のカギになる。日中激突の第2ラウンドは来年3月の世界選手権。「逆境になると燃える」という金子リーダー率いる日本代表の巻き返しに期待したい。

ページトップ