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アテネ金メダリスト鈴木桂治が完全復活。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2007/05/17 00:00

アテネ金メダリスト鈴木桂治が完全復活。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 柔道日本一を決める全日本選手権が4月29日に日本武道館で行われ、鈴木桂治(平成管財)が2年ぶり3度目の優勝を飾った。昨年に続き、決勝で石井慧(国士舘大)と対戦した鈴木は足技を警戒する石井の意表をついて寝技で勝負。抑え込みに腕ひしぎまで繰り出し、ポイントこそ奪えなかったものの、3―0の判定で快勝した。派手なパフォーマンスは一切ない、淡々とした表情が、逆に勝利の重さを物語っていた。

 鈴木にとっては長い長い1年間だったに違いない。3連覇を目指した昨年は、終始優位に試合を進めながら、残り6秒で有効を奪われて負けた。試合直後のインタビューで「勝負しているものとしてやってはいけないことをやってしまった」と嘆いた通り、敗因は集中力の欠如、つまり油断以外の何ものでもなかった。続いて出た「これ以上強くなれるかどうか分からない……」という言葉はもっと衝撃的だった。アテネ五輪で金メダルを獲得し、ただでさえ達成感に浸っている時に、自他共に認める生涯のライバル、井上康生(綜合警備保障)が長期離脱。あらゆる目標を失い、昨秋には「本気で辞めようと思ったこともあった」という。

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