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サムソン惜敗も、3冠へ手応え示す。 

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片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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posted2006/10/12 00:00

 2年連続のトリプルクラウン達成の夢がかかるメイショウサムソン(牡3歳、栗東・瀬戸口勉厩舎)。先輩のディープインパクトと比べると何から何まで地味だが、皐月賞、ダービーと頂点の戦いで勝利を重ねてきた実力を過小評価すべきでない。「タイプは違うけど、あの馬も相当強いですよ」と武豊騎手もサムソンを高く評価している。気が早過ぎるが、新旧の3冠馬が対戦ということにでもなれば、有馬記念は最高の盛り上がりとなるはずだ。

 名伯楽の名を欲しいままにした瀬戸口調教師も来年2月での勇退が決まっている。最後の年に現れた大物は、文字通りの掌中の珠。ダービー後も放牧には出さず、栗東の自厩舎に居残りを指示して、きめ細かな調整を続けてきた。北海道でさえも真夏日を何度も記録した、特別に暑かった今年の夏だが、メイショウサムソンのウマヤの前には1本数千円の特大氷柱が毎日運び込まれ、大型扇風機がフル活動で冷気を送っていた。この特別扱いが功を奏したのか、神戸新聞杯(9月24日、中京競馬場、芝2000m、GII)のメイショウサムソンは馬体重10キロ増の理想的な仕上がり。夏を越しての成長分と、本番に向けての余裕が、その10キロの中身だったと思う。

 しかし、結果は惜しくもクビ差の2着。ダービー2着のアドマイヤメインを直線入り口で退け、早目に先頭に立ったソングオブウインドを貫禄でやっつけ、そのあとで挑戦してきたフサイチリシャールをも力でねじ伏せと、接近戦での無類の強さはこの日も健在だったが、最後に大外から飛んできたドリームパスポート(牡3歳、栗東・松田博資厩舎)の強襲にやられた。平地重賞初勝利の高田潤騎手の手綱による金星だが、なによりも松田博調教師の「いいか、絶対にサムソンと体を併せるなよ」の指示が絶妙だった。

 阪神競馬場の改修工事の影響を受けて、平坦の小回りコースが舞台となったトライアルレースだけに、これが本番の菊花賞(10月22日、京都競馬場、芝3000m、GI)につながるかどうかが難しいところ。石橋守騎手も「勝った馬が、京都の3000mであんなに切れるかなあ?」と、悔しさをその言葉ににじませる。敗戦のほうが収穫は多い。3冠の確率は高まったと思う。

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