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結果を残すアブレイユになぜ注目しないのか。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2005/07/21 00:00

結果を残すアブレイユになぜ注目しないのか。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 「なぜ、と聞かれても説明しようがないよね」と、ボビー・アブレイユは苦笑いを浮かべながら言った。

 「どうして、そんなにコンスタントな成績が毎年残せるのか」と、訊ねたときである。何しろ、6年も続けて20ホーマー、20盗塁をマークしているのだ。メジャー史上でもボビーとバリーのボンズ父子、それにウィリー・メイズの3人しか成し遂げられなかった大記録である。さらに、アブレイユの場合、その6年間で3割を5回マークし、『30―30』を2度も記録。今年は7月4日現在で、早くも21盗塁、18ホーマーの大活躍で、7年連続どころか『40―40』の期待さえ膨らむ。

 ところが、これほどのオールラウンド・プレーヤーの割には知名度が低く、球界で『モースト・アンダーレイテッド・プレーヤー』(最も評価の低い選手)とも言われてきた。実際、オールスター選出は10年のメジャー生活で、昨年に次いで、まだ2回目なのだ。

 「数字や自分に対する評価は全く気にしていないよ。僕の中ではいかにコンスタントな働きができるかということが最も価値のあることなんだ」

 サミー・ソーサに似た風貌だが、万事に派手なソーサと違い、いたって地味な印象を与える。クラブハウスにいても、目立たない。大声でチームメイトと話すようなことも滅多にないようだ。

 「感情を表面に出すことがほとんどない選手だ。いつも淡々とプレーをしている。彼は真のプロフェッショナルだ」と、チャーリー・マニエル監督はいう。

 そうした選手としてのスタイルに加えて、低迷を続けるフィリーズにいることや、打撃タイトルに無縁であることなどがアブレイユを地味な選手にしているのかもしれない。

 しかし、その存在はまもなく大きくクローズアップされてくるはずだ。初のオールスター先発出場に続いて、来年3月には国別対抗の『ワールド・ベースボール・クラシック』で、アメリカ、ドミニカ共和国に続く、強豪ベネズエラ代表の主砲としてビッグステージに立つからだ。

 「今から本当に楽しみだよ。3月開催でも、僕は大丈夫。例年より早く仕上げればいいだけじゃないか」

 静かなる31歳のベネズエラの星は、珍しく声のトーンを上げて闘志を表した。

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