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王者アロンソを抜き琢磨、攻走の6位入賞。 

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今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2007/06/28 00:00

王者アロンソを抜き琢磨、攻走の6位入賞。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

 ヘアピン・カーブからの1000メートル。最終シケインまで続くジル・ビルヌーブ・サーキットで最も長いバックストレートしか、佐藤琢磨が王者たるF・アロンソのマクラーレン・メルセデスにしかけるところはなかった。

 大荒れとなった第6戦カナダGP。ヘアピン・カーブでBMWのR・クビサが大クラッシュ、その後もアクシデントが多発しセーフティカーが4回も出動した。コース・コンディションは悪化し、半車身でもラインを外すとタイヤかすやホコリ、土などによってマシンのグリップが失われる状態になっていたのだ。

 琢磨とスーパーアグリ・チームは、25・50・53周目にピットイン。セーフティカー出動のタイミングを上手く利用した。新レギュレーションによって義務付けられた2種類のタイヤを小刻みに使い分け、終盤はカーバランスがいいハード側タイヤをはいていたことも大きい。63周目時点で琢磨の前、7位にいたR・シューマッハも6位アロンソもソフト側タイヤだ。彼らの走りを見ていると、特にリア・タイヤのグリップが落ち、コーナー出口加速が鈍くなっているなと僕は感じた。もちろん背後につける琢磨は、はっきりと敵の弱点を察知していた。

 あと2周しかない68周目。ヘアピン立ち上がりで追突するくらい接近、車間距離ゼロ。マクラーレン・メルセデスはこの直線が予選の時からアグリ・ホンダより時速8キロは早い320キロをマークしていた。じりじりと離されそうになる。スリップストリームを用い、影のように後ろに入りこむ。なんとかついていくのだ。右か左か? 琢磨は最終シケインに向けて左アウトサイドに振った。いい判断だった。手前150メートル地点までブレーキ・ペダルを蹴るのをがまん。チャンピオンはフェアプレーに徹し、幅寄せ行為は一切してこなかった。我々がF1で見たいのはこういうコース上でのバトルである。

 琢磨がアロンソを抜いて最終シケインをクリヤーしてきた瞬間、カナダのこのサーキットはまるで日本の鈴鹿のようにエキサイト。それはL・ハミルトンが6戦目で初優勝チェッカーを受けたときに勝るとも劣らなかった。荒れたレースは新しいウィナーと日本のファイターへの歓声によって締めくくられた。

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