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WBCムエタイに随行。
ジャマイカの熱い夜。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byKoji Fuse

posted2008/07/10 00:00

WBCムエタイに随行。ジャマイカの熱い夜。<Number Web> photograph by Koji Fuse

 “レゲエのカリスマ”ボブ・マーリーを生み出したカリブの国でムエタイ。6月18日と20日(現地時間)、ジャマイカ第二の都市で高級リゾート地としても有名なモンテゴ・ベイでムエタイのビッグイベントが開催された。11カ国から計24名の選手が招聘され、3分5ラウンド・ヒジ打ちありにこだわった試合ルールで雌雄を決したのだ。K−1の台頭によって日本国内では3分3ラウンドヒジなしルールが主流になりつつあるが、海外に目を移してみるとK−1とは水と油のムエタイルールも幅を利かしていることがわかる。その急先鋒は、2005年に発足し昨年から活発な活動を続けているWBCムエタイ。年内だけでもクロアチア、中国、フィリピン、グアテマラなどでビッグマッチが内定している。

 ジャマイカでムエタイの大会が開かれるのは今回が初めてだったが、もともとサッカーや陸上競技が盛んなお国柄で、過去何名もの著名なプロボクサーも輩出している。観客の中には首相撲の攻防になるとその意味がわからずに失笑をもらす者もいたが、その大半は最初から最後まで選手たちに熱い眼差しを向けていた。

 18日のプレイベントのリングはなぜか緩やかな勾配のある丘に設けられていたため、ピサの斜塔のように傾いていた。さすがに2日後の本イベントは巨大なクリケット場で行なわれたため水平だったが、第2試合が行なわれている最中にリングを照らす照明が消えて進行が中断されるハプニングも。

 その一方で白人の人口は約1%という事情から黒人選手に声援が集まりがちだったが、ジャッジは両日とも公平な立場を貫いていた。20日の大会前、リング上で地元の有名歌手がアカペラで歌ったジャマイカ国歌は、過去に聴いたどの国歌よりも胸に響くハートフルなものだった。

 そうした中、大会MVPを選ぶとするならば、18日のメインに出場した中村元気だろう。ジャマイカ決戦に出場した唯一の日本人ということを差し引いても、ハイキックによる失神KOという決まり手は他のどの試合と見比べても一番インパクトがあった。中村の主戦場はムエタイの本場タイ。これで今年7戦全勝で、タイでは期待のホープだという。野球やサッカーだけではない。中村のように格闘技界にも海外で活躍する選手はいる。

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