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ジャンプ船木、代表復帰への
執念は実るか?
~バンクーバーにかけるベテラン~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2009/12/03 06:00

ジャンプ船木、代表復帰への執念は実るか?~バンクーバーにかけるベテラン~<Number Web> photograph by KYODO

サマーシリーズでは思うような結果を残せず。12月のコンチネンタルカップに逆転を賭ける

 11月10日、スキー・ジャンプ日本代表の6人が海外合宿とワールドカップ前半戦出場のため成田空港をあとにした。同じ便に、日本代表と同じ合宿地を目指す選手がいた。船木和喜である。

 '98年長野五輪で金、銀のメダルを獲得、日本のエースとして活躍した船木は、その後のルール改正に対応しきれず、極度の不振に陥る。'02年ソルトレイク五輪こそ出場したが、前回のトリノ五輪は代表落ち。W杯日本代表自体、外れて4年がたつ。今回も代表に選ばれていないが、同行したのは、合宿やW杯より下のグレードの大会で実績をあげ、代表入りをアピールするためだ。自費での遠征である。

ジャンプへの情熱が、引退を噂されるベテランを奮起させる。

 それにしても、輝かしい実績と、どん底と言っていい時間を考えれば、引退を決意しても不思議はない。にもかかわらず、あきらめなかった理由は2つある。

「トリノの代表落ちの悔しさは忘れません。その思いをバネにしてきました」

 今季開幕前に語ったように、もう一度世界の舞台へ、という強い気持ちだ。

 そして、ジャンプそのものへの情熱である。実は船木は、ジャンプ人口の減少や競技環境の悪化を憂えて、ジュニアの選手に用具を提供するために会社を設立し、寄付や支援活動に以前から取り組んできた。それとともに、競技活性化に必要だと考えるのが、自身の復活だ。

「もう一度活躍すれば、ジャンプへの注目も上がると思うんです」

 だからやめようとは考えなかったのだ。

五輪代表は来年1月に決定。船木は扉を開けるか?

 目標とするバンクーバー五輪日本代表5名は、来年1月、W杯などの成績で決まる。つまり、W杯日本代表であることが必須だ。W杯メンバーは、開幕後の成績で入れ替わる可能性があるが、現時点では、扉を開くのは決してたやすくない。

 だが、今季に入り、空中で揚力を得るためのフォーム改造の効果がようやく出始めた。今年7月の国内大会で葛西紀明、岡部孝信らを抑え9年ぶりに優勝、8月の国際大会でも4位に入るなど、復調の兆しが現れている。

「最後までアピールを続けます。厳しいほうがやりがいがあります」

 と、決してあきらめてはいない。

 今年6月には、「船木を支えよう」と、約200の企業、個人による後援会が発足した。彼らもまた、船木に共感し、可能性を信じている。

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