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ドーピングが撲滅される日は来るのだろうか。 

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藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

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posted2004/10/07 00:00

 陸上男子ハンマー投げの室伏広治(ミズノ)のもとにようやくアテネ五輪の金メダルが届いた。優勝したアドリアン・アヌシュ(ハンガリー)にドーピング疑惑が持ち上がってから1カ月。ここまで来る間はまさに激動の日々だったと思う。ただ、今回の件ではドーピング問題ばかりがクローズアップされてしまったが、日本人が初めて投てき種目で金メダルを獲得したという事実はもっともっと評価されていい。

 失格となったアヌシュは、その後も相変わらず悪あがきを続けている。国際オリンピック委員会(IOC)のドーピング再検査を拒否して失格となったにもかかわらず、自らの正当性を主張し、再三にわたる金メダルの返還要請にも応じなかった。その後、9月13日になって、アヌシュの代理人のバビニェツ氏がメダル返還の意思があることを表明はしたが、結局時間切れで室伏の元には予備の別のメダルが贈られることになった。

 ところが16日になると再び代理人が会見し、「IOCの処分を不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴する」と発言した。同氏は「検査官が適切な手順を踏まなかったことが証明されれば、訴えが認められる可能性はある」としたが、たとえその主張が認められても薬物を使用していなかったことの証明にはならない。IOCの処分が覆る可能性はないだろう。

 それにしても、アヌシュをはじめとするアテネ五輪での一連のドーピング違反には理解に苦しむことが多い。陽性反応を示した薬物は筋肉増強剤や興奮剤が多かったが、これらはすでに'80年代から'90年代に数多く使用され、今では確実に発見できるシステムが確立されている。新しい薬物ならともかく、なぜ今頃になって古典的な筋肉増強剤が出てきたのか不思議だ。アヌシュの場合は検体自体を別人のものにすりかえた疑惑が持たれており、検査では見つからないとたかをくくっていたのかもしれない。

 新しい薬物に加え遺伝子ドーピングの存在もささやかれている現在、IOCは最先端の機器を導入してドーピング撲滅に力を入れているが、4年後の北京五輪では更に厳しい検査が必要となってくる。しかし、国際大会の経験が少ない中国が果たしてどこまで対応できるのか、不安も大きい。

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