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モトGPの排気量縮小が、戦いにもたらした変化。 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2007/04/19 00:00

 990ccから800ccへエンジンの排気量が縮小されたモトGPクラス。昨年、新ルールにあわせたニューマシンをテストしたときに、V・ロッシが今年の戦いをこう予想していた。

 「馬力がなくなったことで乗りやすくなり、コーナーリングスピードが上がって250ccのような走りが要求される。速く走るためにはライン取りが非常に重要になってくるし、ミスも許されない。スタートからゴールまで、これまでにない高い集中力が要求されるね」

 排気量の変更、さらに厳しい燃費規制の実施で、加速も最高速も落ちた。車速の変化が少なくなったことでマシンのコントロール性は高まったが、その分、速く走るためには小排気量的な細かなテクニックが必要となった。さらに、800ccになってタイヤの消耗によるペースダウンもなくなった。つまり、有り余るビッグパワーをいかに使うかという990cc時代から、あるパワーをいかに使い切るか、という時代へ。ロッシの予想通り、今年のモトGPは、ワンミスで優勝争いから脱落するという、非常に難しいレースになっている。

 第2戦スペインGPの予選では、トップから15番手までが1秒差以内という大接戦となり、レースも順位の変動のないハイレベルな戦いとなった。それだけに、グリッドとスタートが、これまで以上に重要な要素になったことも大きな変化だった。

 その中で、ロッシの存在感は、さすがである。開幕戦カタールでは、マシンで優位に立つドゥカティのC・ストーナーの後塵を拝して2位に終わったが、実力の高さを存分に見せつけた。第2戦スペインGPでは、追いすがるD・ペドロサを見事に抑えて優勝を飾った。チャンピオンを取り続けるためには時代の変化に素早く順応する高い能力が要求されるが、ロッシは、それを見事に証明した格好だ。

 しかし、ストーナーとペドロサの台頭は、モトGPクラスの世代交代が間近に迫っていることを鮮明に印象付けるものだ。ロッシvs.若手の戦い。その言葉からイメージするのはモンスターマシンを乗りこなす荒々しさだが、いまのモトGPクラスは、マシンにもライディングにも、これまで以上の緻密さが要求される時代である。

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