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隠善智也だけではない。育成枠の星、小斉祐輔。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

posted2008/05/29 00:00

 プロ野球では支配下登録選手の上限が、一球団70人までと決められている。そこに入れない若手の有望選手を、育成という名目で球団が保有する制度が導入されたのは、'05年のことである。

 当時の最低年俸は240万円。入団して3年以内に支配下選手として契約されない場合は、自動的に自由契約になる。この厳しい条件でもプロ野球を目指したい、と福岡ソフトバンクホークスに入団したのが小斉祐輔である。

 かつては育成枠の3桁背番号であったが、今では「55」になり、年俸も700万円になっていた。

 今年のキャンプ、そしてオープン戦を通じて一軍ですごしてきた小斉だが、開幕3日前に二軍行きを通告された。悔しそうに「結果を残して必ず一軍に呼ばれるようにする」と言っていたが、その言葉通りに小斉は、ウエスタン・リーグの首位打者を快走した。

 その結果、二軍落ちから約1カ月後の4月26日、多村仁の故障により見事一軍昇格をはたした。

 これまでの2年間は外野手として試合にでていたが、秋山幸二ヘッドコーチと新井宏昌打撃コーチは、小斉の打撃センスを活かすために何度もミーティングを開き、結局、一塁手として起用することを決めた。

 大学時代やプロ入り1年目にこなしていたポジションだけに、守備に対する不安はなかった。さらにスタメンに起用されたことで、最低2打席は立てるという安心感が余裕を生んだ。

 4月29日の西武戦では4安打の猛打賞。そして5月6日には、カウント1―1から楽天・永井怜の甘い直球を見逃さずフルスイング。打球をライトスタンドまで運び、育成ドラフト指名選手第1号となる本塁打を放った。

 「思い切ってスイングができている。強い打球が打てることはいい」と何人もの若手選手にチャンスを与えてきたソフトバンクの王監督は、ようやく育ってきた小斉に及第点を与えている。

 巨人の隠善智也を含めて、最低年俸240万円の生活からはい上がって来た育成選手。ハングリーさを知っているだけに真摯に野球に取り組む姿は、ベテラン勢へのいい刺激になって必ず相乗効果を生むはずだ。

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