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なぜプレーオフは、中継されなかったのか。 

text by

越中二郎

越中二郎Jiro Koshinaka

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photograph byHideki Sugiyama

posted2005/11/10 00:00

なぜプレーオフは、中継されなかったのか。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

 熱戦が続いたパ・リーグ・プレーオフ。特にプロ野球版名勝負数え歌とも言われた第2ステージ5試合は改めて野球の醍醐味を教えてくれた。しかし、名勝負をテレビで見ることのできた野球ファンは数少ない。全国中継されたのは4、5戦だけ。ソフトバンクの地元・九州ではローカル局が初戦から中継したものの、優勝に王手をかけられたソフトバンクが9回裏に4点差を追いついた第3戦は放送時間の延長はなかった。放送が打ち切られたのは、まさに9回裏ソフトバンクの攻撃中。地元ファンですら、世紀の逆転劇を地上波で見ることはできなかった。延長なしは事前の予定通りで新聞のテレビ欄でも告知されていたのだが、中継した九州朝日放送には「なぜ放送しないのか」と抗議の電話が殺到した。

 テレビ関係者によれば、映像を加工する必要のない野球中継は13〜14%の視聴率を取れば元が取れるという。しかし、今季は巨人戦の平均視聴率が10.2%と過去最低を記録し、採算ラインを割り込んだ。そんな現実を背景に、優勝が決まらない初戦、2戦目は視聴率を期待しにくく手を上げる局はなかった。また、第1ステージの第3戦(ロッテの2連勝で試合はなし)のテレビ中継の条件として、試合がナイターに変更されたことからもわかるように、テレビ局の野球を見る目は厳しい。

 しかし、4戦目は関東地区で13.8%、最終戦は同17.0%と合格ラインを軽々とクリアし、中継局のテレビ東京では、全社員に金一封2000円が配られた。また、北部九州地区では全試合25%を超え、最終戦は36.7%を記録している。

 これまで、テレビ中継はすべて巨人を中心に考えられてきた。合格ラインとされる視聴率13%も1億円と言われる巨人戦の放映権料を基準にしたものだ。3000万円以下と言われるプレーオフの放映権料で今回の視聴率ならば、十分ビジネスとして成立するはずだ。

 今回のプレーオフの視聴率や過去最高を記録したインターネット配信のアクセス数を見れば、巨人戦以外にも野球ファンのニーズがあるのは確かだし、やり方によってはビジネスとしても成功をおさめられる。プロ野球界だけでなく、メディアも巨人至上主義から脱却すべき時期に来ているのかもしれない。

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