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競泳日本選手権、
新記録ラッシュの理由。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byTakao Fujita

posted2009/05/06 06:00

競泳日本選手権、新記録ラッシュの理由。<Number Web> photograph by Takao Fujita

 7月の世界選手権代表選考を兼ねた競泳日本選手権が、4月16日から19日にかけて行なわれた。北島康介が欠場し、柴田亜衣、中村礼子ら長年日本代表で活躍してきた五輪メダリストたちが引退したあとを受けての大会だけに、どのような泳ぎがみられるか注目されたが、結果は予想以上のものだった。

 世界記録までわずか0秒08に迫った背泳ぎ200mの入江陵介、世界歴代3位をマークした背泳ぎ100mの古賀淳也など、誕生した日本新記録は合計で20を数える。北京五輪後、日本代表ヘッドコーチに就任した平井伯昌氏も笑みを浮かべた。

「これならかなり世界と戦えるなと思える種目が多かったので、大会全体では80点以上をつけられます。ロンドン五輪へ向けての出発点という意味では、150点以上かもしれませんね」

世界レベルで戦える選手を揃え、ローマ世界選手権へ

 記録もさることながら、世界で戦うことを意識した発言をする選手が目立ったのも今大会の特徴だった。「世界新を狙っていたから悔しいです」と語った入江の言葉はその象徴かもしれない。

 平井氏はこう分析する。

「北島康介が北京五輪で出した世界新記録を見て、日本人でも世界記録を出せると知り、自分も世界で戦ってみたいと思うようになったことが大きいのではないでしょうか。また、日本記録と世界記録の差が縮まり、日本でトップに立てばメダルを狙えるという図式が成り立ちつつあるのでは」

 大会では、世代を問わず底上げが進んでいることも浮き彫りになった。北京五輪出場を逃し辛い時期を経て復活してきた選手、例えば背泳ぎ三冠に輝いた寺川綾や平泳ぎ100m、50mを制した田村菜々香らの一方で、平泳ぎの立石諒、野瀬瞳のように台頭してきた若手がいる。そして松田丈志のように、北京五輪で活躍した選手も健在ぶりを示した。

 まだ北島のように、世界で金メダルを獲れると言い切れる選手はいないかもしれない。だが全体のレベルが上がり、国内の競争が激しくなったことは、今後国際大会で戦う上での好材料といえる。

 2012年のロンドン五輪へ向けて新たなスタートを切った日本競泳陣の最初の勝負の場は、ローマ開催の世界選手権となる。

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